第3話

理事長

「えー、みなさん はじめまして


 私が花詩学園 理事長の皇星おうぼしです


 みなさんは小学、中学と魔法の基礎として

 座学を学んで来たわけですが、


 いよいよ高等学校では、実践練習も

 やって参ります



 ご存知のように、魔法というものは

 目には見えません


 ・・・例えば、こんな風に・・・」




理事長は大きく両手を広げて

何か小声で呪文のようなものを唱えだした




「おぉっ! 急に寒くなった!??」



「えぇっ??

 こっちは暖かいよ???」



「何なに なに~~!?

 お口の中が甘いんですけど~~~??」




目には見えないが、

確かにそのように感じる




理事長がパチン!と指を鳴らすと、

瞬間的に様々な感覚が消えていく




「あ・・・寒くない・・・」



「消え・・・た・・・!?」





理事長

「そう、


 暑い、冷たい、甘い、辛い…


 いま、皆さんが感じたように

 様々な感覚を魔法で体験できることは

 周知の通りです



 氷の魔法なら 周りが冷たくなって

 霜がおりたとき、


 火の魔法なら、

 対象が燃えて灰になったとき、


 初めて 魔法は本当にあるんだ、と

 その信憑性が高まります



 …しかし、

 それは結果であって 

 なぜ霜がおりたのか?

 なぜ燃え尽きたのか?


 その過程については今も

 明確に解明はされていません



 それ故に、今も尚

 魔法など存在しない、

 ただのまやかしだ! と唱える学者が

 少なからず存在するのも事実です




 いずれにせよ、魔法は科学に対し

 大きな後れをとっているのが現状です



 では、もしも その過程が目に見えたら、

 世の中どのように変わるでしょうね?



 氷も、火も、 …燃え上がるような恋も、

 あらゆる魔法が目に見えるようになれば


 あらゆる対策は打ちやすくなり、


 "世界はより良い方向へと導かれる"



 少なくとも私は、そのように考えています





 そこで、我が校では…


 世界初の "魔法の可視化" …つまり


 魔法を目に見える形にすることを

 目標に、授業を展開していきます



 また、卒業の為には

 "卒業魔法" といって、


 皆さんが自分で考え出した魔法を

 何でも良いので1つ、

 使えるようになることが必須条件と

 なります



 魔法学校を卒業すれば、

 "魔導士見習い"となって、

 魔導士の試験を受けられるように

 なります



 えー… 繰り返しますが、

 魔法は科学の発展には及びませんし、

 普及もしていません


 しかし、世の中の要所要所では

 少数ではありますが、

 確実に 必要な人材として

 認知されています



 ”魔導士の称号” を得るためには

 相当な努力が必要ですし、

 試験も狭き門となりますが

 合格すれば 晴れて 学園外でも

 魔法の使用を許可されます



 …そう!



 皆さんは今、大変に大きなチャンスを

 目の前にしているのです!


 これからの世の中を変えていく、

 という素晴らしき状況に!


 是非、私達 教員と 一緒に魔法を学び、

 世界に羽ばたく優秀な力を身に着けて

 世の中を変えていきましょう!


 期待しています!!」

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