第47話 平和だな......

三人に日常品の買い出しを頼み、俺は一人DIYをしている。


と言っても、かなり傷みがあると思っていたが案外傷みは少なく、雨漏りもしてないし、床も何処も腐って無い。


掃除はアリス達がやってくれ終わっている。


だから俺は、暖炉の煤を払って使えるようにしたりなど、器具をなおすだけだ。


尤も、全て少し手を入れるだけで普通に使えそうだ。


外装だって絡んでいた蔦を払ったら綺麗になったし、当分は塗装も修復も必要ない。


徹底的に治すとなれば、塗装をし直すか、外装貼りなおしをしても良い。


屋根だって上から張って修復しても良いが……この家は賃貸だ。


そこまで修復をしなくて良いだろう。


当分の間、快適に暮らせる程度で充分だ。


あとは……風呂場と炊事場トイレをメンテナンスして置けば、完成って感じだな。


前の世界の俺は、歳をとったら、熱海から伊豆熱川当たりの築年数の古い別荘を買ってリフォームして生活しようと思っていたから……こう言うのは嫌いじゃないし、得意だ。


いや、用務員をして雑務をこなしていた結果、そうなったのかも知れない。


結局、俺はこの世界に来てからもなんだ、主軸の生活は変わらないな。


緑と言う事なら何処にいても前の世界よりあるし、空気も美味い。


帝国にも海はあるみたいだが、海は海の魔物が出るらしいので、海で遊ぶのはお勧めできないようだ。


海水浴はこの世界では危なくて出来ないらしい。


温泉はあるらしいが、馬車で2週間位はかかるみたいだ。


暫く生活して貯蓄が溜まり、この世界での生活に慣れたら、いよいよ安住の地を探しても良いかも知れない。


◆◆◆


しかし、平和なもんだなぁ~


此処ガンダール帝国で暮らしていると本当にそう思う。


魔国との戦争の情報は入ってくるが、まるで対岸の火を見ている様で実感が沸かない。


俺が戦争を実感するのは一緒に召喚された異世界人が死んだ時だけだ。


生徒達の死が掲示板に記される瞬間のみ実感する。


俺とは違いあの生徒達は……最前線で戦い、命の奪い合いをしている。

それなのに……


聖教国は魔国と隣接して目の先で絶えず人が死んでいくのに対し、ここ帝国には魔族は来ないせいか帝都を含む帝都の街は随分と平和な雰囲気に包まれている。


偶に魔物に襲われて死ぬ人間も居るが……これは前の世界で言う、熊に襲われたのと変わらないだろう。


普通に商売し普通に市場が開催されている。


裏路地で遊ぶ子供たちはいつも笑顔だ。


夜になれば酒場が開き、歓楽街で楽しそうにお酒をのみ赤ら顏で千鳥足で歩く酔っ払いが沢山いる。


街頭に立ち男に声を掛ける娼婦。


本当に戦争をしているなんて思えない。


魔族VS人類……なのに此処は全くの戦争の気配が無い。


そこから、考えるとこの戦争は局地戦であって、全体では戦争をしていない気がする。


少なくとも、総力戦じゃない。


そう考えるなら……余力は沢山ある状態なのに異世界人を呼んだ事になる。


異世界召喚国を異世界人が恨む。


当たり前だ。


◆◆◆


「本当に治しちゃったんですね! 流石はリヒト様!」


「随分とお器用なのですわね。リヒト様は」


「本当に驚きましたぁ~」


三人が買い物から戻ってきた。


暖炉や炊事場を見ながら、驚いた表情をしている。


「まぁ、この位修復すれば住むのには問題ない……また壊れたら修理すれば良いさ」


此処が自分の物ならもっと色々と手をいれるが、あくまで賃貸。


この位で充分だ。


「リヒト様ぁ、お風呂も治っているんですね!」


「勿論、直したし、お湯もはってあるよ、三人で楽しんできて!」


メリッサは実際には感じられないかも知れないが雰囲気を楽しむ為にいつも食卓やお風呂も楽しんでいる。


この家、大きいだけあってお風呂も大きい。


前の世界で言うならちょっとした旅館の浴場位ある。


原理は解らないけど、蛇口をひねれば水もお湯も出る。


恐らく、水は地下水か井戸水をくみ上げて、温める様な魔道具がきっと組み込まれているのだろう。


水道代、ガス代も請求は無いから、タップリとお湯をはっておいた。


「リヒト様も一緒に入りましょう!」


アリスがそう言うとメリッサも霊子も笑顔で頷いた。


「え~と……」


「ほら行きましょう!」


「そうですよ!」


アリスに手を取られ半分引き摺られる様にして俺は風呂場に向かった。



◆◆◆


慣れって凄いな。


一緒に生活を続けているせいか、服を脱ぐのも一緒にお風呂に入るのも誰も恥ずかしがらない。


アリスは、まぁ元からポイポイと服を脱いでいたし、メリッサはよく考えてみれば元からセクシーランジェリーを着て見せつけているふしがあったな。


霊子もそう言えば肌寂しいと言っていた。


なんだ、慣れうんぬんじゃ無く、元から全員が恥ずかしがらなかったじゃないか。


しかし、凄い光景だな。


色白の美少女のアリス。


金髪美女のメリッサ。


そして黒髪の美女の霊子。


よく、ライトノベルの主人公で女性に囲まれた状態をハーレム野郎とか恨みの念を込めて言ったりするが、これじゃ完全に俺がそれじゃ無いかな?


「さっきから私達の事をじぃ~と見ていますがどうかしました?」


「いや、こんな美少女や美女の裸なんだから……男ならどうしても目を奪われるだろう! 眼福だよ」


「え~とアリスは獣人ですよ?」


「私、幽霊なんですけど? まぁ容姿には自信はありますわ」


「死人憑きなんだけど? リヒト様って本当に気にしないんですね」


言われてみれば確かにそうなのかも知れないが……


俺はこの世界の人間じゃないから獣人差別なんてしないから関係ない。


凄いセクシーな金髪美人なら幽霊でも俺は問題無い。


黒髪の清楚な美人なら死人憑きでも問題は無いな。


「三人とも凄く綺麗だ……本当に俺には勿体ない位の美少女、美女だ。その美しさなら獣人だって幽霊だって死人憑きだって問題無いよ……いや、寧ろそれが良いんだよ」


この世界で暮すなら、そのおかげで助かっている。


アリスは獣人だから戦闘力が高いから討伐で助かる。


メリッサは幽霊だから死角から攻撃してくれるし、物理攻撃が効かないから戦闘で助かる。 それにご飯も食べないから食費が掛からない。


霊子は俺より強いし、なにより日本人? だから心が癒される。


「リヒト様ぁ~アリスはアリスは……ううっ、なんでもしちゃいますよ?」


アリスが涙ぐみながら抱き着いてきた。


「それじゃ、触れないのが残念ですが私は視覚的にこんなのはどうですか?」


メリッサが背中から抱き着いてきた。


感触は無いけど……


「そう言う事なら、私はこっちですね」


そう言うと霊子は俺の右手を自分の胸にあてがった。


「リヒト様ぁ それじゃ入りましょう」


「そうですわ」


「そうね」


三人に体を密着された状態でそのまま湯舟に浸かった。


日本人としては本来体を流すか洗うかしてから入るのだが、それを言うのは野暮だな。


しかし、視覚的には6つ感触的には4つフニフニと何とも言えない良い感触が伝わってくる。


それが暖かいお湯の中という事もあってさらに感触が増す。


「アリスさん、メリッサさん、お二人はお風呂の中でエッチをした事あります?」


湯舟で4人で浸かっていると、そんな事を霊子が言い出した。


「アリスはありません!」


「私は愛人でしたから、多少は経験はありますが、ベッドでする方が得意ですわ」



なんて事話しているんだよ……


「私は遊女をしていた経験があるのですが、お風呂ならではの楽しませ方もあるんですよ! 良かったらこれから4人で楽しみません?」


「ふぁ、アリスは構いません! いいえ、寧ろ教えて下さい!」


「霊子さんは異世界から来たのですよね? こちらには無い楽しみ方を沢山知ってそうですわね。伝授して欲しいですわ」


三人は一斉にこちらの方を見た。


「それじゃ、リヒト様……早速、良いですか? こんな感じに男性の体を下から手をれて腰を浮かしまして……あむっ 口でひぃますの……これを潜望鏡っいいまふの」


霊子は妖艶な顔を俺に向けパクッと俺のあれを咥えた。


「ううっ、霊子」


「お風呂だとそういう事が出来るのですね! 次はアリスにやらして下さい!」


「私は……残念な事にこのままじゃ出来ませんわ……リヒト様、今晩、幽体離脱してお風呂に入りませんか?」


一旦火がつくと止まらず、まるで高級風俗でしか体験できない事を夜遅くまでやり続けた。


本当に……凄いな。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る