第40話 王、異世界人SIDE 飴
次の日になった。
儂こと国王ドラド6世は告げる。
「どうするかは決められましたかな?」
不安そうな顔で、異世界の戦士たちは顔を見合わせた。
儂の娘、王女マリンが口を開いた。
「まず、私から説明させて頂きます! 皆様は死後の世界についてはご存知ですか?」
「何、それ......死後の世界なんて」
「ちょっと、待って此処は女神様の居る世界なんだからあるんじゃない?」
「確かに神様が居るんだからあるんだろうよ! 聞こうぜ!」
「有難うございます! まず、貴方達は女神の御使いとしてこの世界に現れました! だから、死後の世界では、貴方達の話で言う天国行きが確定しています! そこはありとあらゆる夢が叶った世界なのです! 生きている間は「異世界の戦士」と扱われ、死後は天国での生活が約束されている、貴方達の神はそんな約束してくれますか? イシュタス様はそこまでの約束をして下さったのですよ」
「嘘、本当にそうなの? 死んだ後も天国に行けるの?」
「そんな約束もされているのか?」
「皆さま、如何でしょうか? 生きている時の保証もされ、死後の面倒も見て下さるし、そして天国から転生して生まれ変わった後も成功を約束してくれている女神様をまだ信仰できないでしょうか?」
「それは本当なのか?」
「はい、それに今現在も恵まれたジョブにスキルですから、手柄を立てるのは簡単な筈です。 前にも言いましたが、貴族にすらなれ、現世でも成功は難しくない筈です……そこまでの約束がされています」
「それをちゃんと説明して欲しかったですな! なんだか喚いていた我々が馬鹿みたいじゃないですか、それなら納得しました!」
どうやら、異世界の方は納得してくれたようじゃ。
「良いのですよ! 貴方達は異世界の戦士様なのです。 これからこの世界の為に戦って下さるのですから、お気になさらずに!」
「そう言ってくれると助かります!」
「他の皆さまにもお願い致します。 この国は一神教ですが、貴方達には、女神イシュタス様が未来永劫の幸せを保証して下さっています! もし前の神様との繋がりが薄いのであれば、イシュタス様を信仰して頂けませんか?」
「そうだな......女神様にこれからもお世話になるんだ。僕は信仰するよ」
「私も」
「俺も」
「有難うございます......全員が信仰なさって下さるなんて......父もこのマリンも感謝しかありません」
「色々とありましたがお互い水に流す事にしよう。儂も、この国も貴方達、異世界の戦士に協力を惜しみませんぞ」
「それでは皆さん。全員が残り、この世界の為に戦って頂ける。そう言う事で宜しいでしょうか?」
「ああっ、私はそれで構いません! 皆はどうだ!」
「俺は残るぞ!」
「私も」
「僕も」
「皆さん本当に有難うございます! 此処からは本当の意味でこの国の仲間と思い接させて頂きます! これからも残って下さる方へ王宮では戦いの為の支援をさせて頂きます! 是非頑張って、輝ける未来を掴み取って下さい! この後はこの国や近隣諸国の貴族の子息令嬢とのパーティを企画しています。是非交流を深めて下さい」
「そのような事迄……」
「各地域でも魔族や魔物で困っているのです! そこで各貴族の方から、異世界の戦士が欲しいという話が来ているのです......まだまだ、先の話、ある程度訓練が進んだ後の話になりますが、貴族の方々が、子息や子女を連れて此処に来ています。その方達は貴方達のこれから戦うパーティーメンバーなるかもしれません!」
「「「本当ですか?」」」
この場所には、魔族や魔物で困っている領地の貴族が子息、子女を連れて来ておる。
「パーティーメンバーであり、将来は婚約、なんて事もあり得ますよ? 半分お見合いだと思って頑張って下さいね......さぁ大広間に行きましょう!」
しかも、最低でも男爵階級以上の本当の貴族達の子息子女じゃ。
その中でも見栄えの良い子息子女を連れて来て貰っておる。
「初めまして 異世界の戦士様、私はユーラシア子爵の三女コーマと申します! お話ししませんか?」
「えっ僕ですか?」
「はい、戦士様、お名前は何とおっしゃいますの?」
「えーと秋野春樹と申します」
「春樹さまですか? 凄く綺麗な目をしていますね」
「マドモアゼル、私はロードマン伯爵家の四男スポークと申します! 少しお話ししませんか?」
「マドモアぜルって、あたあたしの事?」
「そうですよ、マドモアゼル他に誰が居るっていうんですか?」
1人の異世界人に数人の貴族の子女、子息が群がるようにして貰っておる。
これは、謀っているわけではない。
だが、彼等の領地は魔物や魔族の被害にあっている地だ。
異世界の戦士として力を振るえるなら、喜んで子息や子女位差し出す。
子息や子女も領地を守れ、家でも発言権が増える。
子息子女にとっても決して悪い話ではない。
そしてこれなら儂が命令しなくても自ら激戦区に行ってくれるだろう。
「えーっ、これって1人を選ばないといけないんですか?」
「はい! 順子様…...私を選んではくれないのですか? 私はどうやら貴方に一目惚れしたみたいだ……将来」
「ちょっと待ちたまえ! 順子様は私が幸せにするのだ」
「嘘でしょうこんなイケメンが私を取り合って喧嘩しているなんて...もしかしてこれは私が主人公の話なのかな!」
「こんな、素晴らしい事があるなら来て良かったわ」
「本当にそうだな! この俺がこんなにモテるなんて」
パーティに参加した異世界人は始終笑顔だった。
これでヤル気も出て訓練もはかどるじゃろうな。
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