第17話 とり憑かれる。
凄いな……
体が半分透けて見えるとは言え、スケスケの紫のネグリジェにスケスケのピンクのブラにパンティ。
胸は小ぶりだがスレンダーで綺麗なプロポーションが丸見えだ。
少しボサボサだが綺麗な長い金髪の髪。
綺麗だけど意地悪な貴族の令嬢が一番近いかも知れない。
少し透けているのが残念だ。
幽霊は怖いというがそれより、その肢体に目を奪われる。
「エロい……」
さっきからそんな美女が胸を押さえてこちらを睨んでいる。
「貴方は、私が怖くないのですか?」
「幽霊なのだろうが……その恰好、その……なんだ、恐いより目のやり場に困る……」
体は幽霊らしく透けているのだが、何故か下半身の毛まで見える。
男なら……まぁ察してくれ。
「……貴方には私がどう見えてますの……この私が……」
恐さよりエロさが勝っている。
「昔の洋物のエロ本のお姉さん……」
子供の頃、店でエロ本が買えなくて、こっそりと周りの目を盗んで買ったエロ本の自販機。
結構、入っている物がいい加減でどんな物が出るか解らない。
彼女の服装は、ビニ本モデルが着ていた物の様に見える。
勿論、彼女の様な金髪美女モデルの本が出たら、あたりだ。
「エロ本とは……なんなのですか?」
異世界で解るわけ無いか。
「うまく説明ができない。 悪い、ただ俺の目には君がセクシーな下着美女に見えるんだけど……」
「貴方にはそう見えるのですね……幽霊の私が怖くないのですか?」
「怖くは無いな、美女の下着姿だからな、それで、そのあんたは此処で何をしているんだ? まさか、此処に住む人間を呪っていたりしているのか?」
「別に呪ってなどいないわ! 皆が私を見て勝手に怖がって逃げていっただけですわ……貴方本当に私が怖く無いの? 私は……幽霊ですわよ」
「呪ってこないなら怖くないし問題ないな! おかげで安く此処を借りれたよ。居たいなら好きなだけ此処に居て良いし、何か事情があるなら話位聞くよ」
「そう……私の名前はメリッサ……コーネル子爵家の元は令嬢でしたわ。ですが、メーデル伯爵の愛人として借金のかたに売られてしまったのです……」
「その時の恨みで、幽霊として……」
「違いますわね! 弱小貴族が借金の方に売られるなんて良くある事ですわ……そんな事でいちいち死ぬなんてしませんわよ!」
確かに気の毒だけど、その時に死んでないなら幽霊になった原因じゃないな。
「そうか……」
「まぁ、愛人としてこの屋敷に囲われていたのですが、ある時黒ずくめの男達に襲われて殺されてしまったのです」
「その時の怨念が元で幽霊になった……そう言う事か?」
「違いますわ……死んだ私の死体は魂ごとネクロマンサーのスズキーに渡されたのですわ。ネクロマンサーのスズキ―が死体から魂を取り出し『人工幽霊』を作りました、それが私なのですわ。 この世界に魂を括られて永遠に死ねない存在……それが私なのです」
「人工幽霊? 普通の幽霊と何か違うのか?」
「ええっ、普通の幽霊は時がたてばやがてこの場所を去り天界に行き転生しますわ……ですが、その輪から外れてしまっていますから、私は永遠にこの世界を彷徨っているのです……もう数十年この場所に括られているのか出られませんの」
「数十年……この屋敷から出ていない……そう言う事か?」
「ええっ……」
「そうか、それは随分と……」
「ええ、地獄ですわ……此処から何があっても出られないのですから……」
「何か解放される方法は無いのか?」
「解放ではありませんが……此処に縛られなくなる方法ならありますわ」
「どうすれば良いんだ?」
「私は人工幽霊といえ幽霊ですのでとり憑けば良いのですわ……そうすればとり憑いた人間と一緒に自由に外に行けるのです」
なんだか何十年もの間此処から出られていないなんて可哀そうな気がする。
「例えば、メリッサに憑りつかれたとして何かデメリットは無いのか?」
「私が怖くないのですよね?」
「怖くないな」
「それなら、特にありませんわね……今の私がセクシーだと言うなら何時でも見放題になりますから、得かも知れませんわね」
「さっき胸を隠して無かったか?」
「私も女ですから……ですがとり憑かせて頂けるなら、ストリップ位サービスしますわ……幽霊ですから触れられませんが……」
ある意味美女のアダルトVRが見放題になる。
そういう事か…….
「リ……リ……リヒト様ぁ……ああっああーーーそれ、逃げて下さい!」
アリス、起きてきたのか……だが、どうしたんだ?
「うふふふっあははははっ、可愛らしい子……恨めしぃ……おいでぇ……」
「いやぁぁぁぁぁーーーっ! 来ないでぇーーっブクブクっううっ」
アリスの方にメリッサが歩いて行ったらアリスが悲鳴を上げて気絶してしまった。
「メリッサ、これっていったい?」
「これが普通の反応よ? 私が美女に見えるなんて言った人間は貴方位ですわ……誰もが怖がりますの」
「それじゃ、俺が見ているメリッサの姿ってなんなんだ?」
「良く解りませんが、話しを聞く限り、私の愛人時代の姿みたいですわね」
「とり憑くのは構わないが、幽霊だったら姿は消せるんだよな?」
「ええっ、大丈夫ですわ」
「アリスが慣れるまで姿を消していてくれるなら構わないけど、ん? 触れないならなんでこの家は綺麗なんだ?」
「それは……人に触れられないだけで物なら触れますわ……この家から出られず暇だったので色々してみたのですわ! それで、彼女の前では姿を消していれば憑いて良いんですわね?」
「別に構わないよ……それでお願いがあるんだけど」
「やはり、条件がありますのね、そう簡単にとり憑かせては頂けませんわよね? どの様な条件ですの?」
「いや、これまで通り家事をしてくれたら嬉しいなってだけ。無理なら構わないけど......」
「そんな事ですか……それなら構いませんわ」
まぁ、凄い美女だし、悪い事しなさそうだから良いか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます