第6話 異世界での職業経験

ボードを見てみると……やはり問題無く読むことが出来た。


ランクと仕事内容が解りやすく書いてある。


依頼を受けたい場合は剥がして受付へ持っていき、依頼を受ければ良いみたいだ。


用務員をしていたから、案外仕事には困らなそうだが、今ある仕事の単価は安い物が多く感じる。


取り敢えず簡単に出来そうなのが『ドブ掃除』と『草むしり』。


どちらも道具は依頼主が貸してくれて代金が銅貨8枚(約8千円)。


あとは……『土方仕事』これが銀貨1枚と銅貨2枚(約1万2千円)位。


大体、こんな感じだ。


大体、前の世界と賃金はあんまり変わらない気がする。


ドブ掃除と草むしりは、前の世界で用務員としてやっていた仕事だ。


土方はアルバイトで経験がある。


どれをしようか?


色々考えた末、俺は土方の仕事を受ける事にし、受付票を剥がし受付に持っていった。


◆◆◆


「はぁはぁ、ぜぃぜぃ」


「兄ちゃん、若いのに体力無いなぁ~ まぁ初めてだろうし、そんな物か、頑張れよ!」


若い体で良かった。


『そうね……貴方達と比べてこの世界の人間は体力があるかも?』


イシュタス様の言う通りだ。


この世界では車や電車は無く、交通手段は精々馬車位。


普段から歩きなれていて、体力を使う生活を余儀なくされているから、周りの皆はかなり体力がある。


それに比べて俺は15歳の体だが、前の世界の15歳の体。


割と体力はある方だと思っていたが……全然追い付いて無い。


この世界で15歳は成人したばかり……割と半人前扱いされている状況だから生暖かい目で見てくれる。


42歳じゃ無くて良かった。


本当にそう思った。


きっと、42歳のおっさんだったら、こんな優しい扱いはされない。


瓦礫を運ぶ仕事が一段落ついて、今は飯を食いに酒場に来ている。


ブリムラさんというガタイの良いオッサンに連れてきて貰った。


オッサンと言っているが年の頃は恐らく30歳前後。


前世の俺よりは遥かに若い。


「それでよう、リヒト、お前のジョブはなんだ?」


「魔法剣士です」


「だからかぁ~ それじゃジョブの恩恵に預かってないよな? まぁきちんと働けているみたいだが、ジョブからして討伐を受けた方が楽だぞ!」


「そういう物ですか?」


「ああっ……こういう仕事は『職人』『大工』そういうジョブを持っていて、専用のスキルを持っている人間だと凄く楽なんだが、持ってないと大変なんだ。まぁ、なかにはリヒトの様に違うジョブでも『その仕事をしたい』そういう人間も居るが、それは変わり者のする事だな……体力作りでやっている。 そう言う事なら別にいいけどなぁ」


成程、そういう恩恵が無ければ、ジョブやスキルの意味はないもんな。


「確かにその通りですね」


「おう、それじゃ、午後の仕事に戻るか……行こうぜ」


「はい」


魔法剣士……普通に考えて討伐向きだよな。


そうなると、武器や装備を買わないと……あとで時間のある時に見に行くか。








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