第4話
次の日の学校、着いて早々に詩織に話しかけられた。
「ちょっと話があるんだけど。昼休み、空いてるわよね?」
なんだろうカツアゲかな?…とりあえず財布は持っていこう。
そして昼休みになり、
「どうする?食堂行く?」
「なるべく人目につかない場所がいいわ。そうね…旧校舎に行きましょう」
ということで、購買で俺は適当に親子丼を買い、詩織は弁当を持参して旧校舎へ足を運んだ。
うちの学校は校舎が二つあり、旧校舎の方は音楽室や理科室とかの専科の教室や部室なんかがあり、昼休みには人がいない。エアコンすらないからな。
事前に教師から鍵を借りていたらしく、適当な空き教室に入り、腰掛ける。
「それで?なんか話でもあるの?」
うひゃー。親子丼やっぱいいなあ。鶏肉と卵のハーモニーが家族の絆を感じさせる。
「なんか話でもあるの?じゃないわよ。あなた、話題になってるわよ」
俺がぽかーんとアホ面を晒していると、それを察して説明してくれる。おやこどんおいしい。
「昨日、渋谷の初心者ダンジョンに侵入者が現れたって。まあ話題になってるって言っても探索者の間でだけど」
ふむ、ふと思ったんだが、牛肉を使ったシチューは牛乳と牛肉を使っているのである種親子丼と言えるのではなかろうか。いや、丼じゃないか。
「一応、法律には違反してないと思うけど?」
「そうね、そこまで含めて話題になってたわ。まあ、すぐに沈静化させたけどね」
そうか。この程度のことで話題になるのか。まあ確かに、法律の穴をついたような行為だし、前例も見当たらなかったからな。しゃーない。
「そっか。ありがとう」
「どういたしまして。それと、うちのクランのリーダーがあなたと話したいらしいわ。来週の日曜、開けといてね」
「…なぜ?」
「私も知らないわよ。探協から話を聞いてクランの名前を使って貴方に手出ししないように言ったら、リーダーがあなたに興味を持ったみたいで」
彼女の話によると、マニュアルにない事態に遭遇した探索者協会の職員達は上に相談し、とりあえず俺を拘留なり留置なりしてなんとかしようとしていたらしい。まあ、探索者とかダンジョン絡みの話は対応を誤ると人が死ぬからな。
にしてもこわ〜い。彼女には助けられたなあ。そしてそれをクランの権力で黙らせて、リーダーにも知られたと。
それにしても、クランのリーダーね。クランというのは複数の探索者が集まってできた寄り合いのようなものである。10人くらいのものから、数万人規模のものまであり、宮野詩織がスーパールーキーと呼ばれる理由の一つが、探索者になって早々に、国内でもトップクラスのクランにスカウトされたことである。
クランの運営方針はそれぞれ異なるが、彼女の所属するクランは、強くなきゃ入れないし、強くても入れないことがあるくらいには人気かつ力のあるクランである。
『光耀』この国でもトップクラスのクランだ。その光耀のトップが俺に話とは。全く、よくわからんことだ。
「ああ、空けとくよ」
「それと、次からはスキルを使わずに普通に入っていいわ。話は通しておいたから」
まったく、持つべきものは権力者の友人だな。
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