第2話

「変な夢を見た気がする」


俺は目が覚めた。目覚めの悪い朝だ。どんな夢を見たのか気になるのに思い出せない。


「まあ夢だしどうでもいいことか」


俺はそう呟き体を起こし、ベッドを直しリビングへ向かった。


「おはよう母さん、父さん」


「お、おはようサナト。今日は早いな。」


「おはようサナト。確かにいつもより早いわね。どうしたの?」


「別に。ただ変な夢を見て起きただけ。思い出そうとしても何も分からないからそのまま起きてきただけだよ。」


「そうか。まあ早起きするのはいいことだからこれからは早く起きるようにしろよ、さっぱりするぞ。」


「はいはい。」



そういいながら俺は席に座り用意されていた朝ごはんを食べ始めた。


俺が今話している人達は俺の母さんと父さんだ。といっても本当の親じゃない。俺が木にもたれかかっている所を発見してくれて家に連れてきてくれた。そして俺が1人で過ごしていたことを知り家族となってくれたんだ。2人は優しくて本当に恵まれてると思う。


ちなみに妹と弟もいるのだが2人は学校に通っている。冒険者になるための学校だ。弟は剣士、妹は魔法使いとして入学していて成績もいいらしい。兄としては誇らしいばかり。


「あいつらは今何をしてるんだろうか。」


俺がそう呟くと


「今は実践訓練のための合宿をしてるらしいぞ。」


と父が教えてくれた。


「へえ。実践訓練か。怖がって泣いてなかったらいいけどな。」


「2人とも怖くないしなんなら楽しいって言ってたわよ。あんまり実践で楽しいって思って欲しくないけど怖がって何もしないよりはマシよね。」


そんな風に2人と会話していたらいつのまにか朝ごはんを食べ終わっていた。


「ごちそうさま。」


「はーい。サナト今日も行くの?」


「うん。俺は他の人達より努力しないといかないしね。」


なんで他の人達よりも努力しないといけないのか。それはスキルがないからだ。この世界ではスキルが当たり前のように使われている。人は産まれた時から1つスキルを持っている。そしてそのスキルを使い生活や戦闘をする。最初はスキルは1つしかないがそこからスキルを手に入れて数を増やしていくことも出来る。しかし俺は何故かスキルを手に入れることができずにいた。


だけどその代わりに魔力だけは多かった。スキルを使用するには魔力を使う。スキルを使わなくても魔力を使うことで身体能力や武器の強度などを強化することができる。それが魔法だ。


紛らわしいかもしれないが剣士だからといって魔法を使わない訳では無い。なら魔法使いは要らないのではと思うからもしれないが魔法使いはスキルが魔法に特価した者達のことを言う。剣士はスキルが剣を使うことに特価した者達のことを言う。


だから俺はスキルがないから剣士でも魔法使いでもない。


俺の目標は強くなること。なぜだか分からないけど強くならないといけない気がする。記憶を失う前に何かあったのかもしれないしそうでもないかもしれない。だからそのためにも俺は魔法を強く使えるようにならなければならない。


「行ってきます。」


そう言って俺は家を出た。


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スキルがないから強くなる meru @medaru

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