日本魔術学園

現代魔術師の学び舎────

その学園は、日本魔術学園と呼ばれていた。

ガラス張りのモダンな眺めで、近代的なオフィスビルを彷彿とさせる三棟の校舎。しかしそれらは、学び舎というにはあまりに巨大であり、高閣だった。最も小規模な中央校舎セントラルハウスでさえ、全50階で構成された、最長部240m、延床面積26万4000m²の巨大建造物である。右隔校舎ライトハウス左隔校舎レフトハウスにいたっては、同階層にして、中央校舎の1.5倍の延床面積を誇っている。また、学園の所有地は東京ドーム約20個分の坪面積100万㎡。校舎間に存在する第一庭園ファストガーデン第二庭園セカンドガーデンは、東京ドームがそのまま二つ入る巨大庭園だ。

そしてこの学園は、一般的な教育機関では無い。

『魔術学園』

それは、魔力を持った一部の人間、『魔法使い』にのみ門戸を開く、魔術師の育成機関。もしくは、魔術師の為の研究機関だ。

近年多くの国で創立され始めているその学び舎は、長い歴史を持つ魔術史の中では異色の特性を待つ。元来魔術師は、自らが探究する魔術を秘匿し、自身の血縁からなる魔術師間でのみ魔術を発展してきた。だが約15年前、度重なる魔術テロにより秘匿が破綻、魔術は世界に露呈した。結果、自らを魔法使いだと自覚する者が急増、社会は魔法使いとの共存を余儀なくされる。動乱の末魔術師達は、現代社会との共存を選択した。その象徴とも言えるものが、魔術学園だ。

学園には、長い歴史を持つ名門魔術家系の出身者から非魔術家系の出身、果ては海外魔術家系の出身まで、様々な魔術師が所属している。

その理念は、調和の取れた魔術世界の創造にある。

魔術との共存から生じる、あらゆる社会問題への対応。全ての魔術を解明、発展させ。さらなる科学の進化へ繋げる。その為の人材を育成、確保する。

─────魔術学園は、その為に創られた新興機関だ。

中でもここ──日本魔術学園は、高等教育機関を軸としており。社会的には自立していない、学生の魔術師が対象となっている。

中等教育修了後の魔術師を世界中から集め、未来を担う現代魔術師へと育成、もしくは確保する。それが───日本魔術学園だ。

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