第17話
円柱形の建物の壁に合わせて空が丸く見える。
カンカン音がする。杭を打ち付ける音だ。サラに繋げた鎖の端を地面に打ち込んでいる。
魔法陣の上に座らされて待機する。
この魔法陣はサラを焼き殺すものらしい。
本当かどうかはわからないが偽の処刑の準備中だ。
「もう少し待っててね」
「来なかったらどうするの?」
「その時は君を処刑して終わるよ」
サラは魔王に来てほしくないと願った。
(私が処刑されて終わるなら一番被害が少ないわよね)
魔王も村の人も死ななくて済む。
「一週間は待ってみるつもりだから大丈夫」
勇者は爽やかに笑う。女性が好きそうな顔だとぼんやり考える。
だがサラは魔王を思い出していた。
(来ないで……)
どこかから爆破する音が聞こえた。
「来たよ。じゃあ頼んだよ」
勇者はサラから離れていった。
壁の一部が崩壊した。
魔王だ。
「サラ」
「来ないで」
サラは短剣を突き出した。
「サラ」
「強い毒が塗ってあるの……」
手が震える。
「!!!!」
魔王がサラを抱き締めた。短剣は左腕の辺りに浅く傷を作った。
「サラ、あいつらに何かされたか? 痛いところはないか?」
「いえ、いえ、それより貴方、毒が……」
短剣を落とす。先には血がついている。
「この程度では死なない」
そう言いながらサラに繋がれた鎖を剣で切っていく。
魔王の背中にめがけナイフが飛んで来る。
魔王がナイフを剣で弾き飛ばすと、勇者が見えた。
「サラは魔法陣の外にいろ」
「はい」
「ちっ。まだ動けるのか。化け物が!」
「……」
勇者は魔王に切りかかってきた。魔王は剣を受け止める。
「お前と遊んでいる暇はない」
魔王が剣を押すと勇者は後ろに跳ぶ。
勇者が剣を握り直した瞬間、剣先が弾き飛んだ。
「なにっ!!」
真っ二つになった剣の先が、地面に刺さる。
勝負がついたようだ。
「サラさま」
サラはその声に振り返る。
「お、お姉さん!」
お姉さんがいつの間にかサラの近くまで来ていた。
「この先はご覧にならないほうが良いです」
「はい」
きっとこの先は魔王が勇者を殺すのだろう。
サラはお姉さんについて行く事にした。
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