第8話

「おい、サラ!」


「!!」


振り向くと魔王がいる、まだお昼なのにどうしたのだろう。


「なんですか?」

「何か考え込んでいたな」


脱出計画とは言えないので他の話題を答えなければいけない。


「というかですね。何で私が自発的に好きにならないといけないの?」

サラは両手を腰にあて堂々と言い放つ。


「貴方、私に惚れられるようなこと何もやってないよね?」


一種の逆ギレだが、今のところ正論だろう。



「……ほう、そうか。なるほど」


なぜか魔王に響いたらしい。イヤな予感がする。


「口説いて迫っても良いのか?」


「いえ、遠慮します」

変なスイッチ押してしまったようだ。



「そう遠慮するな」


魔王が近づいてくる。サラは後ずさりベッドまで追いやられて腰かける。


「サラ……そう気負いするな。何も深く考えず俺に身を委ねれば良い」

サラの両肩をつかんでサラにのし掛かってきた。息が止まりそうだ。

押し倒されたサラは魔王を見上げる。


魔王の指の背でサラのこめかみを撫でる。顔がだんだん近づいてくる。サラは必死で魔王の口元を押さえる。

おでこをくっつける。

今度は口元を押さえている手をつかんで離す。


「いつ許してくれる?」


「まだ……半年あるから」


サラは緊張と恥ずかしさで紅潮していた。


魔王は脱力したように身体を更にくっつけてきた。体が重い。長いため息を吐くと起き上がり、サラから離れていった。そのまま檻から出ていく。


「なんなの?」


完全に翻弄されている。心臓が脈打つのが自分でもわかるくらいうるさい。

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