第6話

会話終了。


(なんだ、この話術のスキルの無さは。というか話を続けようという努力が見えない、説教したい)



「教えないとキスするぞ」

「サラです!」


あまりにも脅し文句が恐ろしくて被せ気味に白状してしまった。


(というか今のセクハラだよね。アウトなほうのやつだ。監禁する時点で倫理的にはもうダメだろうけど)



「……サラ」


確認するように、噛み締めるように言う魔王。少し嬉しそうなのはなぜだろう。


「なんですか?」

サラの手をとる。手の甲に口づけを落とす。

「サラ」

すっと左手の薬指を撫でられる。


「ちょっと!これは何!」


気がつけば指輪が嵌められている。


「逃げてもわかるようにしただけだ」

「やだ、なんてことしてくれたの!」


必死に指輪を外そうとしたが外れない。呪われているのかもしれない。


「サラ」

また見つめてくる。油断すると心を持っていかれそうになる。それくらい魅力的な相手だ。


「いつ許してくれる?」


殺したことを許せと言うのか。


「難しいですね」

「では、半年間待つ。半年経ったら問答無用で襲うからな」

「ええっ? なにその期限?」

「心の準備期間だ。覚悟しろ。もしくは、好きになれ」

「好きになればどうするの?」

「抱く」

「好きにならなかったら?」

「襲う」


なんだろうその選択肢、表現が変わるだけで結果は一緒だろう。理不尽にも程がある。おそろしい。



「ドン引きだわ」



魔王ははじめて微笑んだ。

今笑うところだっただろうか、こわい。


「発情スケベ野郎」

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