第4話
深夜、狸寝入りをしていると魔王が戻ってきた。長かった、暇で死ぬかと思ったし、本当に眠るところだった。
ベッドが軋む音がする。
寝ようとしている。
寝息を確認して魔王に近づく。どこに入れたのかわからない。とりあえずそっとボディーチェックした。
上にはないから下の方らしい。
手を引っ張られた。短いサラの悲鳴が上がる。
いつの間にか形勢が変わっていてサラが押し倒される形になっている。
「鍵を探しているのか?」
「ええ、そうです」
人間、正直が一番だ。即答した。
「良いことを教えてやろう」
魔王は金属の輪っかを出した。そこにいくつかぶら下がっているものは鍵には見えない。
「これは俺の魔力がないと作動しない鍵になっている」
魔王が輪っかにぶら下がる宝石を触ると鍵が現れた。
「ほう、便利ね」
「それから鍵は5つある。外へ出る扉も5つだ」
「いちいち鍵をかけるのは、めんどうくさいでしょう? 2つくらいにしておいたら?」
「せめて3つだな。まあ出られても外は瓦礫の山だが」
「またまた、こわいこと言う~」
「大丈夫だ。お前が見る日はこない」
絶対サラを外に出さないつもりだ。
魔王はサラの頬に手を当てた。
「そんな雰囲気でしたか?」
じぃっと見つめてくる。相手の顔が良すぎて、たじろぎそうだがサラは白目を剥いて舌を出して変顔を作る。
ムードをぶち壊してやった。
手が離れ、ため息をこぼされた。作戦成功だ。
魔王はうつ伏せに寝っ転ぶと長い息を吐く。
そして背を向けて眠りはじめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます