第2話
暇で死ぬかと思ったが辞書、図鑑、小説が置いてあり、飲み水、何なら飴まであった。
こういうとき通気孔から脱出するのだろう。もし脱走に失敗するととんでもないお仕置きを受ける。
今読んでいる小説にそう書いてある。この作品のチョイス、微妙に不味くないか。たぶん選んだ人は中身まで点検はしていない。数時間前に読んだ小説も大人のそれだった。
「けっこう快適かもしれない」
処刑される日まで毎日だらだらごろごろできるのではないだろうか。怠惰。別の意味で危機感を覚える。
夜、眠っていると金属を擦る音がした。起きたサラはベッドサイドの灯りをつける。
「ええっ?」
魔王だ。
「起こしたか?」
「やだ、夜這いですか~」
サラは冗談で言ってみる。
魔王は右手を顔に当てため息をついた。
「……だったらどうする?」
そんなの抵抗するに決まっている。サラは目を丸くして瞬いた。
魔王はサラにのし掛かってきた。両手首を掴まれる。
聖女の時は必死に戦っていたからそれどころではなかったが魔王は顔が良い。
近くでずっと見つめてくる。
サラは小さい抵抗で思いっきり頭突きした。
興が殺げたのか魔王はサラの隣に転がった。
「なかなかの石頭だな」
「なんの用です?」
その質問には魔王は答えるとこなく、寝息が聞こえてきた。
「はあっ? 寝るの?」
なんと無防備な寝顔か。
「私が聖女だったら、貴方死んでますよ」
とりあえず布団をかけてあげた。
(自分を殺したやつになのに私はどうかしているのか?)
あまりにも優しすぎると自分を誉めちぎりながら眠りについた。
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