第44話
どう意味かと、心汰の目が椿希に問い掛ける。
「ん?あぁ、ここじゃあちょっとね。」
突然、背後に何か感じたのか椿希はドアの方へ注意を向けた。
心汰も神経を尖らせる。
「黒澤先生?いらっしゃるんですか?」
そこに現れたのは、その膝上のミニスカートで男子生徒達の指示を得ては、女子生徒達の反感を買っている20代の女教師だった。
「原川先生。どうかしましたか?」
「あの、この後もしよかったら食事でもどうですか?若手の先生方で黒澤先生の歓迎会をしようという話になりまして。」
今日に至ってはミニスカートだけでなく、シャツのボタンも一つ多く外されてるようだ。
歩み寄った椿希に潤ませた上目遣いを向けながら、丁寧に巻かれた髪を耳に掛ける女教師に椿希はにこりと微笑んだ。
「ありがとうございます。」
その瞬間、女教師は頬を紅潮させた。
「く、黒澤先生は何がお好きですか?お酒は飲めますか?美味しいワインのお店があるんです!」
「せっかくなんですが、今日はこれからとても大事な用があるんです。また次回誘って頂けますか?」
椿希は女教師の髪を一筋手に取ると、唇を寄せそのまま女教師の目を真っ直ぐ見つめた。
「その時は是非、二人きりで。」
「は、はい!!」
耳元で囁かれた女教師は腰が砕けたようにフラフラしながら戻って行った。
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