第43話

「バカになんかしてないよ。...牛乳買ってあげようか?」


「いらんわ!やっぱりお前バカにしとるやろ?!」


「遠慮しなくも...」


「しつこいわ!そんなん言う為に来たんやったら帰れー!!」



はぁはぁと肩で息をする心汰を見て我慢出来なくなったのか、椿希は声を上げて笑った。



「あっははは!そんな怒るなよ、半分冗談だから。」


「半分ってなんや!半分は本気って事か!」


「あーはいはい、そういうのもういいから。」



あしらわれた事にイラ立ちを露にする心汰。しかし、うって変わった椿希の表情に釣られるように心汰の表情にも緊張感が現れた。



「それで、様子は?」


「はぁ...まぁ、表情ひとつにしても普通の中学生...とは言えんな。それと、恐らく何かしら気付いてると思うで。」


「例えば?」


「ん~。自分の存在、ここにいる理由。そして、親の存在。」


「でも、あの情報が確かなら記憶はないはずだろ。」


「あぁ。その情報がいつのかは知らんけど。でも、今のあいつの言葉や目には心に決めた強い何かが現れてる。多分悪い方のな。」



心汰の鋭い目付きと声音に椿希の表情も強張る。



「俺らが止めてやらんと。あいつの人生、これ以上誰にも壊させん。...で、お前の方は何か分かったんか?」


「あぁ、まだ少しだけどね。ただ、その少しの中だけでも"清蘭"なんて

清らかな名前には似つかわしくない事ばっかりだったよ。」

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