第42話

「アホ、誰がされるか。ってか誰がお子さまや!椿希!」


「こらこら、黒澤先生だろ。転校生の駒草くん。」



そこに居たのは、腕組みをしながらドアに肩から寄り掛かるようにして立ち、笑みを浮かべている黒澤椿希だった。



「先生に向かってアホなんて、いけない子だね。」


「そのしゃべり方やめろや。気色悪いわ。」


「随分と反抗的だな~。そんな生徒にはお仕置きだね。」


「は?ふざけんのもいい加減に...!?」



一瞬の事だった。気付いた時には心汰の目前に椿希の姿があった。



「はい、お仕置き♪」


「いだだだだだだ!!」



そして次の瞬間には、心汰の両頬が椿希によって力いっぱい捻り上げられていた。



「いったいわ!離せや!アホ椿希!!」



心汰は椿希の手を思い切り振り払うと、自分の頬を擦った。



「まだまだだね~心汰。1年前と変わんないじゃん。身長とか力とか身長とか。まぁ、ちゃんと中学生に見えるし、その点ではさすがだけどね~。」



微笑みながら自分の身長と心汰の身長を、手を使って比べてみる椿希の目線は僅かに心汰よりも上だった。



「なんで身長2回言うねん!バカにしとんのか!伸びたわ!1年前より5mmも伸びたわ!成長期なめんな!」


「......。」


「哀れみの目を向けんな!」



椿希の無言の同情は心汰の気に障ったらしい。

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