第33話

「え?でも確か芦田さんって竹原くんと付き合ってるんじゃないの?」

「は、マジで?ってかイケメンなら誰でもいいのかな?」



そして、あることないこと囁かれる噂。



「なぁなぁ、俺女の子怖いわ~。うちの中学のゴツいヤンキーより怖いで。」



それを耳にしてしまった心汰は両耳を自分の手で塞いだ。



「こんなのまだまだ序の口だよ。あたしなんて高校生三人と大学生二人、あと会社社長一人の合わせて彼氏六人いるらしいからね。」


「は?マジで?そんなおんの?!」



安己奈の言葉に心汰は耳から手を外して驚愕の表情を見せた。



「さぁ、どうだかね~。」


「マジかー?!やっぱり女の子怖いわー!」



青い顔をして頭を抱えた心汰。

ニヤニヤと怪しい笑みを浮かべながら誤魔化す安己奈にミオは呆れるように溜め息を吐いた。



(安己奈、遊んでるな。)


「なぁ、竹原って誰?」


「うわぁっ?!」



突然顔の前に現れた心汰の可愛らしい顔。油断していたミオは驚いて一歩退いた。



「そんなビビらんでもいいやん。傷付くわ~。」


「あ、あぁごめん。いきなりだったからつい。」


「っで、竹原って誰?ミオの男なん?」


「違うよ。竹原くんは1、2年の時に同じクラスだっただけ。」



しかし、そう言うミオを横目にしながら楽しそうな笑顔を見せる安己奈がいた。



「まぁ、ミオはそう思ってるけど、竹原はどうかなぁ?」


「さぁね。あたし、今日はサンドイッチ買ってくるね。」



安己奈の問い掛けにそっけなく答えると、ミオはパンの販売コーナーに1人向かった。

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