第32話
ミオ達同様、昼休みになると全校生徒の半数以上は食堂へと向かう。中学では珍しいであろう清蘭の食堂は常時30種類以上のメニューがあり、まるで飲食店だ。
「なぁ、俺らさっきからめっちゃ見られてる気がするんやけど、気のせいやないよな?」
その途中の階段で、心汰は先程から気になっていた事を問い掛けた。
昼休みで廊下に出る生徒達とすれ違ったり教室前を通り過ぎる度に心汰は視線を感じていたのだ。
「あぁ、うん。気のせいじゃないかな。」
「そうそう。そりゃあ、こーんなイケメンが歩いてたら見ちゃうでしょ?まぁ、好意半分、嫉妬半分ってとこかな。」
心汰に向けられた好意的な視線と、一部の生徒達のミオと安己奈に向けられた嫉妬の視線に二人は気付いていた。
二人にしてみればいつもの事で、慣れたものだ。
「え?!俺ってイケメンなん?マジで?!ヤバイヤバイ俺の時代来たんちゃう?!」
自分を指差して驚きの表情を見せる心汰。
誉められた事に喜びを現したのか、一気に階段の最上段から飛び降りると見事な着地を見せた。
それを見た二人は。
「やっぱり犬だ。」
「やっぱり犬だ。」
そう言わずにはいられなかった。
そして、食堂に着いても視線は変わらずで。
「ねぇ、あの人でしょ?噂の転校生。」
「ほんとだーかっこいい。ってかまた芦田さんと立花さんなの?」
「え?なんで、あの二人と一緒にいるの?」
同級生の嫉妬から始まり。
「芦田先輩と立花先輩だ!あの人もかっこいいー!絵になるよね!」
「なるなる!やっぱり美人にはイケメンだよね!」
後輩からの憧れ。
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