第27話

(ほんとによくある少女漫画みたいなパターンだよ、これ。)



周りの様子にまたもやそう思いながら壇上に視線を伸ばしたミオ。



「へ?」



その瞬間、黒澤と目が合った気がした。こちらを見て微笑みながらも何かを探っているような眼差しに、ミオは一瞬体を強張らせた。



「えっ!?目合ったんだけど!」



しかし、それはミオの後ろで「黒澤先生に微笑まれた」と喜んでいる女子生徒によって勘違いだという事になった。


その後、集会を終え教室へと戻る生徒達。



「いやー、あれはレベル高い!見た?お局の真知子ちゃんまで頬染めちゃってさ~。眼鏡輝いてたよ!」



ミオよりも後ろに並んでいた安己奈は、お局と呼ばれる学年主任の顔真似をしながらミオの隣にぴょんぴょんと駆け寄って来た。



「ねぇ、ねぇ。あの黒澤先生さ、ミオの事見て微笑んでたよね?やっぱ教師との禁断の恋しちゃう?」


「あー。あたしも一瞬そう思ったけど、違うみたいだよ。後ろの子達が"微笑まれた!"って喜んでたし。」


「はい?んな訳ないじゃん。自分の顔、鏡で見たことないのかね?どんだけ自意識過剰なのよ。」



安己奈の毒舌に苦笑しつつ、教室へと戻って来たミオ。

間もなくして担任が現れると、その後ろからは一人の男子生徒が続いて教室に入って来た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る