第25話

「...何が?」


「安己奈だって、いっぱい告白されてるけど、誰とも付き合わないよね?あ、友達もいないでしょ?」


「う、うわー、悪気なしにかなり失礼な事言ったよこの人。安己奈ちゃん傷付いたよ。」


「でも、ほんとの事でしょ?」


「清純面してコワイわ~この子。ま、間違ってないけどね。あたしの見てくれしか見てないヤツらなんか、必要ないし?あたしが興味あるのはミオだけよ♡」


「それはどうもありがとう。」



お互いわざとらしい笑みを見せると、バカらしく思えたのか思わず吹き出した。


その直後、全校生徒に向けての校内放送が響き渡る。



《今から集会を行います。全校生徒は体育館に集まってください。》



その指示に従ってぞろぞろと体育館へ向かう生徒達。

それに倣ってミオと安己奈も教室を出た。

すると二人が廊下を進んでいくと、徐々に生徒達がざわつき始める。



「おい、あの先輩達めちゃくちゃかわいくね?」


「お前知らねーの?立花先輩と芦田先輩だよ!うちの学校の美人トップ二人だぞ!」



そう言って遠くから見ているのは入学したばかりの一年の男子生徒。

女子生徒は目を奪われたようにただ見つめている。



「お、立花と芦田が並んでる。やっぱりあいつらかわいいよなー。」


「他の中学でも狙ってるヤツいるらしいぞ?」


「俺は芦田先輩かなー。清純派いいわ~。」


「俺、絶対立花先輩!リードしてもらいたい色々と!!」



2、3年は通りすぎる2人を見ながらどちら派なのかを口にしている。

それを憧憬と羨望の眼差しで見つめる女子生徒達。


しかし、中には妬み嫉みの目を向ける者も少なからずいるもので、2人が通りすぎると後ろではこそこそと良くない噂話が始まるのだ。


やれ、誰々の彼氏を盗っただの、高校生や大学生を相手に何股してるだのと、噂話が飛び交っている。

しかし、ただの噂話をいちいち気にしていたらキリがない。


そんな事など聞く耳持たず、体育館までの道程を並んで歩くミオと安己奈。廊下には自然と2人の歩く道が出来ているのを気に止める事なく進んでいく。

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