第24話
「はい、ダメー。あの子は佐々木さん。しかも1年の時同じクラス。」
「そうだっけ?」
「そうだよ。」
「...あ、そういえばそうだったね。そうそう佐々木さん。もちろん覚えてるよ。ちょっとど忘れしただけだよ。」
「やだなー。」と笑ってはぐらかそうとするミオだったが、それは安己奈には通用しないようだ。
「何その胡散臭い笑顔。その顔絶対作ってるでしょ。」
「いやいや、いじってないよ。自前だよ。」
「そういう意味じゃないよ。」
突っ込みは忘れず、ジトッと目を細める安己奈にミオは笑ってみせた。
「そうだね、大して興味ないかな。あたしの理想はね、もし卒業アルバムを開いたとして、その時に“こんな子いたっけ?”、“そういえばいたな~”くらいの存在でいられたらいいかなって思ってる。」
理想の状況を頭に思い浮かべながら話すミオの表情は穏やかだ。
「今のあたしには生活するのに最低限必要な関わりさえあればいい。拒否ばかりしてたらそれはそれで人の目につく。でも、だからと言って人の輪の中に入ってしまったらあたしの理想は成り立たない。当たらず触らずでいるのがあたしにとってベストな状態なんだよ。」
その笑顔はどこか自嘲を含んでおり、中学生とは思えないその表情に安己奈は、思わず言葉を詰まらせた。
「....。 」
「それに、それを言うなら安己奈だってそうでしょ?」
しかし、直ぐに表情をいつも通りに戻したかと思うと、ミオはいたずらな笑みを浮かべていた。
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