第16話

「それなら、今度はお前が振り回してやれ。自分から俺達に情報を渡した事を後悔させてやればいい。」


「そうだね、...分かった。任せてよ。」



クルリと椅子を回した桜真。フッと弧を描いた赤い唇、そしてグリーンの瞳は力強く朔を見上げた。



「とにかく今は、直接確認するしかない。桜真はそのまま発信源と裏で動いてる奴がいるか調べてくれ。」


「りょーかい。」


「アキ、二人を呼ぶぞ。それと...」


「あぁ、"あいつ"には話しておく。」



光祥へと向き直った朔はスマートフォンを取り出し、部屋の外へと向かう。

そして光祥も、朔の言いたい事を瞬時に理解すると次の行動へと移るため、後に続いた。



「見つかったって言ったら"たっくん"、泣いて喜ぶんじゃない?」


「あぁ、そうだろな。」



振り向いた朔のその表情は桜真も驚くほど穏やかで、これから起こるであろう波乱など全く感じられない。



「必ず解放してやる。あいつら"二人"、必ず。」



しかし、歩き出したその穏やかな表情は一変して組織の先頭に立つ者へと変化していく。


そして夜は更け、再び光が町を照らす。

裏の世界の者達は照らし出されたもの達の影の中で動き出した。

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