第10話

「朔さん、車の用意が出来ました。」


「あぁ。」



眼鏡の男は車の助手席へ、黒髪の男は後部座席へ乗り込んだ。

整列した男達は、その車が発進して見えなくなるまで礼を続けた。



「朔、今度の情報...本物だと思うか?」


「さぁな。でも、桜真が"分かった"と言ったんだ。あいつだけは間違った情報を俺達には流さない。」



そう。その人物は今までも、確信をついた情報しか絶対に口には出さなかった。

分からない事は分からないと言う、そういう部分では素直な奴なのだと二人は知っていた。



「確かにそうだな。菊田、急いでくれ。」



運転手は返事をするとアクセルを踏み込んだ。


そして、車が到着した先。そこは純日本家屋の大きな屋敷だった。

威圧感たっぷりの門構えは入ろうとする者を威嚇する。



-花王会 桐谷組-



組員数は多くはないが絶大な力を持ち、日本の数ある裏組織の中でも一目置かれている花王会。

東西南北に取り仕切る組が配置され、その中でも実力、実績共に名が知られているのが東日本を取り仕切る桐谷組だ。


そして、それが二人の男に浴びせられる熱視線の正体でもある。

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