一章
- 朔月の夜 -
第4話
時計の針が一番高い所を指し、闇が深くなりだした頃。そこは裏の世界にあるビルの最上階の一室。
「まっ、待って!助けて!い、いやぁ!!」
悲鳴の先に塵のように見えるのは、次から次へと行き交う車。
「は?情報を提供するって言ったのはあんただろ。俺は、その情報に見合うだけの謝礼をすると言ったはずだ。」
「そ、それならどうしてこんな...?!」
そこには頭をギリッと鷲掴みにされた女が、窓から下着姿の上半身を投げ出されていた。
「どうして?そんなの簡単だろ。」
鷲掴みする手に男は更に力を込める。女を見下ろす眼鏡の後ろに見える目は冷ややかで、眉ひとつ動かさず無表情だ。
女は必死に窓枠にすがり、全身をガタガタと震わせている。
「あ、あの情報は間宮組の、幹部からの情報です!間違いありません!」
その瞬間、女の体はさらに窓の外に投げ出され、甲高い悲鳴が夜の闇に響いた。
「だから、あんたが俺に話したその間宮組からの情報が、まったくの嘘なんだよ。」
「そんなはずは...そ、それならあたしを抱いて下さい!お詫びになんでもします!絶対満足させますから!!」
男は呆れ気味に深い溜め息を吐き、女の髪を掴み頭を引き上げた。結局この女が欲しいのは目の前にいるこの男に抱かれたというステータスだけなのだ。
「うるさいよ。この俺が指入れてやったんだ、満足だろ?」
耳元で囁かれた恐ろしく冷たいのに艶のある声。その低音に女の背筋はゾクリと震え、性懲りもなく熱を持った体は疼く。
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