第3話

それはそうと、最悪の事態が起こってしまった。


メルシャンを階段から突き落とそうとした女子生徒が自ら落ち、それをメルシャンに突き落とされたと言い張ったのだ。

その女子生徒は私も知らないが、これは問い詰めねばならないだろう。


医務室にいる彼女に私は会いに行った。


彼女は足首を捻ったくらいの軽症で済んだようだ。

どうやら家が没落寸前での不安と身分が低いくせにアレックスに近づくメルシャンを生意気だと思っていたらしい。


私は彼女サイドの人間だと味方のフリをしつつ、エレノア以外メルシャンに手を出したら許さない作戦を実行した。

幸い目撃者がおり、彼女が勝手に落ちたということで、メルシャンに突き落とされたという発言を撤回させた。



しばらくして彼女は学園から去った。どうやら家が金銭的に学園に通う余裕すらなくなったのだろう。



そのはずなのだが、なぜか私の圧力でひとつの家が没落したとの噂になっている。


噂って怖い。



学芸会でメルシャンが白雪姫の役をしたけど、お芝居のほうは本当にひどかった。

アレックスは王子で王子役、キスをするフリのフリで本当にメルシャンにキスをしたのは内緒だ。

私は魔女の役で学芸会のベスト悪役賞を取った。



いろんな思い出を作りつつ、学園生活は過ぎていく。


いよいよ明日は卒業パーティーの日だ。

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