第24話
その年下の元彼女はサダと同じ会社の子で、一度サダに紹介されて会ったことがあるけれど、明るく可愛いらしい女の子だった。
一目惚れしたという彼女から、最初に告白されたときにはその気がなかったサダも、何度か告白してくる彼女に根負けする形で付き合い始めた。
一生懸命サダに尽くす彼女に、徐々に惹かれていったという。
・・・なのに、だ。
「あんなに『好き』とか『こんなに好きな人なんて、もう現れない』とか言ってたくせに、簡単に浮気かよ。言葉なら、どーとでも言えたんだよな」
仕事帰りに連絡をしないで彼女の家に行ったサダは、部屋で男と遭遇。
しかもその浮気相手は、サダの同期だった。
なんとか誤魔化そうとした彼女だったが、同期があっさりと白状したらしい。
「でもさ、その言葉が本当かどうかは、もっと普段の彼女の行動とかをしっかり見ていなきゃダメだったんじゃないかな・・・まぁ難しいかもだけど。
けどまぁ半年で本性が知れて良かったじゃん!結婚とか考え出しちゃう前で!」
言葉では何とでも言える。
でも言葉にしないと伝わらない気持ちがあるのも確かだ。
・・・難しいね。
「わかってるよ。俺自身も、彼女を見てるようで見てなかったんだよな・・・もう簡単に付き合うのはやめるよ」
そう言ってサダはビールを飲み干す。
「今日は飲め飲め!」
ちょうど近くを通ったバーテンダーに、私は
「ビールもう1杯お願いします」と注文した。
「俺って見る目ないのかな」
うなだれるにサダに、
「それはミッツに失礼じゃない?」
と、すかさず突っ込む。
サダとミッツは、大学のときに1年ほど付き合っていた。別れた理由は詳しくは知らないが、「なんか違った」とミッツが言っていた。その後も仲の良さは変わらなかったから、お互いに納得した円満な別れだったのだろう。
「あいつはイイ女だったよ。付き合って良かったと思ってる。・・・・・・もう今ではまったく、女として見れないけど」
「あははっ!」
別れた人と友達になるなんて、私には考えられないけど、ミッツだから出来るんだろうな。
「お待たせしました」
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