第23話

◇◇◇





「確かにイケメンだな」





週末の金曜日、

サダと2人で再びBar『Lotus』を訪れていた。


今日も賑わいを見せる店内だけど、先週よりも早い時間帯のせいか、隅にあるテーブル席が空いていた。




「あれは三葉が好きそうだわ」



カウンターの中の亮平くんを見ながら、頬杖をついたサダが言った。

ミッツから「初めて行ったBarでカッコイイ人を発見」と、ハートマークがたくさん並んだメールが届いたそう。




「でも彼女がいるって知って、ソッコーで諦めてたよ」



「普通いるだろ、あれは」



そんなミッツは明日は合コンがあるから、今日はお肌の為に夜更かしをしたくないとキッパリ断られた。


「あいつの勝負所は外見じゃなく、中身だろ」と、サダが愛のある発言をしていたけれど。


私もそう思うよ。



なかなか3人揃っての都合が合いそうにないから、とりあえず今日は2人で会うことになり、もう一度来てみたいと思っていた『Lotus』にサダを誘ったのだ。



ダークブラウンの短髪にチャコールのスーツを着たサダは、システムエンジニアの仕事をしている。


ようやくひと段落した仕事も、来月から新入社員が入社すると、その指導に追われてまた忙しくなるんだとか。



「おまえんとこは新入社員は?」




「・・・知らない。うちの部署にも配属されるのかな?」



私の所属する経理部は、少人数の部署なので、毎年新入社員が配属されるわけではない。


営業部か企画部がほとんどだ。




「・・・相変わらず、他人に興味ないだろ」



「他人って。新入社員にふつう興味なんかわかないでしょ」



「まぁ、それもそっか」



「なぁに〜サダは新入社員に可愛い子がいないか期待してるの?」



「そんなんじゃねぇよ。・・・まだ傷が癒えてないし」




サダは3ヶ月前に年下の彼女と別れてから、今はいないらしい。

別れの原因は、彼女の浮気だ。




「まだ未練があるの?」




「は?未練だど?そんなもんまったくだ!なんであんな女と付き合ってたのかもわかんねー。あれほど好きだって言ってたくせに、半年で浮気ってふざけてるだろ。当分女は信用出来ねぇよ・・・」




そう言って目尻を下げるサダ。



ーー子犬みたいでちょっと笑える。



今笑っちゃダメだけど。

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