第21話
「いいな、俺も今度衣都ちゃんの手料理食べてみたいよ」
「こんなピラフを作れるコウさんに、食べさせる料理なんてありませんよ」
「えー、手料理って味じゃなくて、気持ちの問題なのに。あとシチュエーション?」
ニヤリと笑うコウさん。
シチュエーションってなんだよ。
「じゃあ、このエビピラフの作り方教えてあげようか?」
「あ!それは教えて欲しいです!ぜひお願いします!」
こんな美味しいピラフが、しかも短時間で作れたら嬉しい。ピラフなら、一人暮らしの私にもピッタリだ。
「じゃあ、またここに来てね。営業中は教えられないから時間外にね」
そう言って極上の笑みを浮かべたコウさん。
ーーーハメられた!
「・・・じゃあ、けっこうです。残念ですけど。
あ、もちろん営業中には来ますよ、お客さんとして。このBar、すごく素敵ですから」
「ざんねーん!じゃあ平日の営業中においで。暇なときに教えてあげるよ。そんな正直な衣都ちゃんにお店を褒められると、より嬉しいよ」
・・・お世辞でも嬉しいな。
「内装はコウさんが考えたんですか?」
「いや、ほとんど要だよ」
チラリとブラックオーラの・・・要さんに、
私は目を向けた。
すごくセンスが良いんだ・・・
仕事も出来そうだし、
『天は二物を与えず』って、あれ嘘だよね。
ピラフをすでに食べ終えた要さんは、煙草に火をつけるところだった。
すごく無口なヒトなのかな。
ーーそれとも私がいるせいなのかな。
「・・・あそこの部屋ってVIPルームですか?」
再びコウさんの方を見て、
ずっと気になっていたことを聞いてみる。
「ああ、あそこはVIPルームというより、要専用の部屋だよね。仕事で使うときもあるけど、週末とか賑わってるときなんかは、ほとんどあっちにいるんだ」
・・・・・・Barに自分の部屋があるの!?
それって贅沢過ぎない!?
「どんだけワガママなんですか・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
ーーーしまった
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