第12話

「ノノって入社してから、ずーっと彼いないわよね?特定のヒトを作らない主義なの?」



ーー彼はいないけど、彼じゃない男ならたくさんいるの確定みたいに聞こえるんですケド?





「うーん、なかなかこれといった出会いがなくてですねー」



「合コンも嫌いって言ってたわよね?」



「ああいう場がどうも嫌いというか・・・あと合コンに来る男の人もあんまり好きじゃなくて」



ガツガツしてる感じがして、苦手なのだ。

勝手なイメージだけど。



「ワガママねぇ」



「まぁ、今もすっごく彼が欲しいわけじゃないから良いんです。自然に出会えるのを待ちますから。」



「そうよねぇ。特定しない方が自由に遊べるものね」



ーーいやいや、だから違いますから。





「そうだ!一人紹介したい人がいるんだけど、どうかな!?顔はちょっと強面だけど、根はイイ奴なの!」





ーーコ、コワモテって・・・


もしや姐さんの組のオヒト?




「来月、この会社に入社するって言ってたからちょうど良いかも!」



ヤクザも会社に入れるの!?


っていうか新入社員って、

けっこう年下じゃないの!?




「ーイエ、紹介もちょっと苦手なので遠慮しときまーす・・・アリガトウゴザイマス」




お気持ちだけで、十分です。




「そう?残念だわー。でももし紹介して欲しくなったらすぐに言ってね」



山田姐さんは本当に残念そうだった。



でも、山田組に入るのはちょっと遠慮したい。






ーーーやっぱり26歳で未だ彼氏ナシのこの状態は、真剣に考えなきゃマズイのかな。




ミッツと山田姐さん、立て続けにこの話をされると、さすがの私もへこむよ。



寂しくないわけじゃない。


でも中途半端に他人と一緒にいるくらいなら、一人でいるほうがずっと楽だと、覚えてしまった。




仕事だって、ここはそこそこ大きな会社だけど、私のやってる内容は雑務が多い。

給料はけっこう良いから満足しているけど、別にやりがいがあるわけでもない。




・・・特に結婚願望もないけど、母親に懇願される年齢になったりしたら、お見合いでもするのかなぁ。







けっきょく、空っぽなんだよね





ーーーもう、ずっと。

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