第4話

デザートまできっちり食べた私たちは、

イタリアンのお店を後にした。




3月の夜は、まだまだ肌寒い。


それでも春を意識して、少し薄手のベージュのスプリングコートにしたけど失敗したな。




「う〜寒い!このあと、どうする?駅の近くに気になるBarを見つけたんだけど、そこ行かない?明日もどうせ暇でしょ?」



オレンジの可愛いコートを羽織ったミッツが、凍えながら言う。

一言多いんだよなぁ。



時間はまだ21時になったばかり。

帰るにはまだ早い。




「そこ、行こっか」




ミッツは新しいお店をリサーチするのが得意。

私はあまり・・・というか、まったく冒険をしないタイプだから、そういう面でもミッツといるのはかなり楽だ。







私たちがよく会う駅は、オシャレなショップや隠れ家的なレストランやカフェも多い。

会社からも2駅だし、アパートからも3駅だから、とても便利だ。



そのBarも、駅から徒歩3分ほどの小道に入った3階にあった。



よく見つけたなぁと、感心するわ。







細い螺旋階段を上りきると、大きなアンティーク調のウッドの扉が現れた。






Bar 『Lotus』








「ロータス・・・?」



小さくOPENと書かれた看板はあるが、正直とても入りにくい。『一見さんお断り』みたいな雰囲気で、敷居が高そう。





「ね?なんか気になるでしょ?入ろっ!」




ミッツのまったく物怖じしない性格が、

羨ましい。

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