第3話

初めて付き合ったのは高校2年生の冬だった。




かなり人気のあったサッカー部のエースの男の子で、告白されたときには正直嬉しかった。


特別好きという気持ちはなかったけれど、かっこいい男の子に好きだと言われて、『お付き合いする』ということにも当然憧れはあったから、悩んだもののOKした。


けれど、やはり「好き」という気持ちがないから長くは続かず、キスもすることなく三ヶ月で別れた。




大学に入っても彼氏は出来ることなく、ようやく4年生のときに、この人ならと付き合い始めてみるものの、卒業と同時にお別れした。


これまでの人生で、お付き合いした人は2人。

それも短期間だから、恋愛経験はほぼナイに等しい。








「そんなちょっと付き合っただけじゃわからないよ。もっといろんな人と付き合ってみなよ。せっかくチャンスは向こうからやってくるんだからさ!」





モテることは、自覚している。


学生のころから何人もの人に告白はされたし、今の会社に入ってからもそうだ。

告白されれば嬉しいし、有難いと思う。


でも正直、なぜ自分なんだとも思う。







「その歳で処女はさすがに・・・「うるさい!こんなとこで、そんなこと言うなっ!」



私の大声に、周りの席に座っている他のお客から一瞬注目を浴びる。





「あんたが、うるさいわよ」


ミッツは苦笑しながら言った。




わかってる。

この歳でそっちの経験がないのもマズイってことくらい。



でも大切にしてたわけでもなく、本当に好きでもない人に触れられることに抵抗があるわけで、そうこうしているうちに気付けばこの歳になっていた。



「見た目は華やかだから、恋愛も豊富そうに見える癖に、中身は昭和なマジメちゃんだからねぇ。そのギャップ、めんどくさいね。」








・・・ミッツは、厳しい。

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