第2話

◇◇◇





「それはセクハラだわ」



「だよね」






週末のデート相手である、市橋 三葉。


愛称ミッツ。


中学生のときからの付き合いだから、えーと何年になるんだ?とにかく長い。



「『綺麗』ってとこじゃなくって、『沢山、彼氏がいる』ってところね」



呆れたように、生ビールを流し込む。



「やっぱ、休み前のナマは最高だねぇ!」




綺麗に内巻きにセットされた栗色のボブヘアに、大きめのくりっとした瞳。

見た目は可愛い系であるミッツは、中身はおじさんっぽいというギャップが好き。




「こんな純情オンナ捕まえて、ナニ言っちゃってるんだろうねぇ。相変わらず誤解されやすいみたいだね。その髪型が派手なんじゃない?彼氏いない歴何年になったっけ?」




髪型は余計なお世話だよ!

仕事のときは、いつも纏めてるし!




「・・・卒業まえに別れてからだから、4年くらいかな。」


「うわぁ〜ながっ!よく平気だよね。」




・・・平気なわけじゃないんですけどね。




「ミッツは今いないの?高橋くんだっけ?同じ会社の年下の。別れてどれくらいだっけ?」



「それ前の前!次の武田くんとは3週間前に別れたから、今はいないよ。来週合コンあるから、良い人いるといいなぁ〜」



ミッツは私と違って、恋多き女。

私の前だとオヤジキャラだけど、男の前ではかなり猫かぶりになる。毎日電話するのは当たり前で、メールの回数も驚くほど多い。で、毎回重たいと言われて振られるパターン。




「凝りないね。」



「だって私たち、今年27だよ!?結婚だって考えるわけだし、真剣に出会いを求めなきゃ!って、私より衣都だよ!どーすんのホントに!彼氏探さないの?」




そう言って、運ばれてきたばかりのアツアツのピザを頬張る。


ここは、私とミッツの住むマンションからちょうど中間地点にあるイタリアンのお店。場所的にも都合が良いし、雰囲気も良いからよく利用している。




「うん・・・わかってるんだけど、なんかこの人だ!って人に出会えないんだよね」



「衣都は理想が高すぎるんだよ。せっかく綺麗な顔して胸はないけどスタイルも良くってモテるんだから、とりあえず付き合ってみればいいのに。」




胸はないのは余計だよ!巨乳め!




「大学のときだって、とりあえず付き合ってみたけどダメだったじゃん。もうそういう付き合いも疲れたし。」

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