第59話

真緒は立ち止まり、スマホを取り出す。


そして、電話を掛ける。



「…休み取れたよ。

うん…今から行く。」



そして、スマホを仕舞うと、オフィス街を眺める。



これも、ルキの為…



選択した。





日常を離れることを…




何が起こるか分からないけど、絶対にやり遂げる。




もう、身近な人を巻き込まないために。




真緒は歩き出した。










途中に、アパレルショップに寄り、お嬢様風の服を買って、そのまま着た。



そして、ヒールをコツコツ鳴らしながら、ある場所に向かう。





待ち合わせ時間まであと少しというところで、指定された場所…




待ち合わせ場所の高級ホテルのロビーに来た。



「真緒!」



ブランド服に身を包み妖艶な雰囲気たっぷりのルキが迎えた。



「ルキ!

この世界の服を着ると相変わらず、芸能人みたいにかっこいいね…」


「それ、褒め言葉?」


「まあ…うん。」



褒めていることに気づいて恥かしくなって、真緒はそっぽを向く。


その様子にルキは笑う。



「真緒は可愛いね。

その格好、この日のために選んだの?」


「うん…」


「この世界で一番素敵かも…ね。」



ルキが笑う。


真緒の心臓がドキッと音を立てる。



だめだ…ルキが笑うと心臓が締め付けられるのを感じる。



この世界で、出会うことがない人…



存在するはずのない人…



想いは宙に浮く…



彼は近くにいるけど、本来は遠い存在の人



居る世界が違う



境界線もあったもんじゃない



そもそも、交わるはずのない世界線だから…

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