巫女の占い

第57話

午前中…






真緒はバンっと上司の机の上に紙を提出する。


それを見た上司は眉をひそめる。


「佐藤さんこれは…?」


「有給休暇申請書です。」


「はあ…飯田さんもまだ退院していないのに…君まで…」


「大変申し訳無いのですが、明日から、1ヶ月の休暇を取らせて下さい。」


「…理由は…肩の後遺症の為、名医の病院で療養するためと…?」


「はい。

1ヶ月の療養が必要と医師に判断されたためです。」


ペラっと医師からの診断書も見せる。



その診断書を上司は訝しげに見る。


「佐藤さん、元気そうだけど…」


「あっ!!急に肩の傷が痛みだしてきた!」


「……………まあ、良いでしょう。

ゆっくり療養してきなさい。」


「はい!ありがとうございます。」


「明日からね…はい、今日はもう帰っていいよ。

お大事に…お疲れ様。」


「お疲れ様です!」


ペコっとお辞儀をすると、上司から離れる。


今日はもう、帰宅だ。





「うーん!

しばらく、会社ともさよならか…。」




オフィス街を歩く。


仕事で忙しそうに走り回るビジネスマン…


楽しそうに会話をしているOL…


普段見る光景だが、今の真緒には懐かしい光景のような気がしていた。





「佐藤さん!!」



「柊木さん!?」



柊木さんが慌ただしく駆け寄ってきた。

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