第56話

真緒は優しいんだな…


真緒の日常を変えてしまった…


真緒の友人も巻き込んでしまった…


そんな俺を責めないんだな…


自分の体を傷つけられ、恐怖に心を支配されようとも、真緒は俺の事を心配をしている。


俺は…









「…………俺は、真緒を守りたい。」


「えー…。」


「真緒をこんな目に合わせたクルス・ケイを俺は絶対に許さない。

俺が倒す。

そして、真緒に二度と怖い思いはさせない。」


「ルキ…ありがとう。

確かにクルス・ケイは怖かったけど、冒険が出来たし、私、意外とタフなんだって知れたし、クルス・ケイを看板で殴ったんだよ!」


あはは!っと真緒は笑っていたが、目がウルウルとしていた。


「真緒、本当は怖かったんだろ?

無理しなくていいから…」


ルキは穏やかに笑って言った。


その表情を見て、真緒は次第に顔を歪ませ、目から涙をこぼし始めた。


「ぅぅ……うわー!」




真緒はルキにしがみつく。

そして、ワンワン泣き始める。



ルキはそっと真緒を抱きしめた。



「本当は怖かった!

切られるし、痛くて…

しかも、クルスは変な翼で飛んでくるし、

カレンは死んだんじゃないかって思ったし…

ルキに会えないまま、私も死ぬかと思ったし!」



「こんな思いをさせてごめんな…」



「…今だけ、泣かせて…」


「真緒の気が済むまで付き合うから。」



ルキに抱きしめられると、安心してくる。

恐怖心が安らぐ。


安らぎの時間…













ーーーーーー



「さあ、佐藤真緒さん、待っていてくださいね。」




邪魔をする者は不気味に笑った。

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