異変

第44話

亀田出版社に行って、数日が経った。


あれから亀田透から連絡があり、巫女の亜衣様に会う日が無事に決まった。


ルキと2人で安堵していた矢先ーーーー






朝食を食べながら、真緒とルキはテレビを見ていた…

すると、アナウンサーが朝から不穏なニュースを報道する。





【OO区ではここ数日間の間に、女性の死体が何人も発見されています。

警察の発表では事件性が高く、女性を狙った犯行だということです。

犯人は依然と捕まっておりません。

OO区では不安が高まっており、事件現場周辺に住む住人は日夜、怯えているとのことです。

ここで、OO区在住の人にお話を聞いてきましたーー…】



「OO区ってー…隣の街だよ。」


パンを食べながら、真緒が嘆く。


「OO区って隣の街なのか。

犯人は捕まって居ないらしい…

用心しとかないとな。」


「…怪しいところには近づかないで帰ろう。」


「そうそう、真緒になにかあったら、俺、生きていけないから。」


「そうでした。

血がいるもんね。」




テレビから住人のインタビューが流れる。


【そうなんですー、背の高いスラッとした男が、被害者女性と一緒に居たんですよ…

なんか、不気味な男でしたよー。】



「えー、目撃者が居るんだ!

なんで、その男が捕まらないんだろう…?」


「余程の、手慣れた犯行なんだろうな。」


「ルキみたいな?」


「どういう事?」


「手慣れた手口で血を飲むじゃん。」


「ははっ、真緒、覚えておいてね。」


爽やかに笑うが、目が笑っていない。


「あー…そろそろ、仕事に行かないとー…。」


真緒はごちそうさまと言って、立ち上がった。

そして、食器を流し台に置く。




すると、ルキは真緒の後ろに立つと…


次の瞬間、抱きしめるような仕草で真緒の手をそっと握って、真緒の肩に自分の顔をのせる。


「今日は遅くなるの?」


真緒の耳元で甘えたような声でルキは言う。


「うん!?うーん…わからない!」



「そう…今日の夕飯はステーキだから。」


「また?」


ここ数日の夕ご飯はステーキや肉ばっかりだった。


「真緒が貧血になって倒れたりしたら大変だろ?」


「有り難いけど、飽きが…」


「飽きたの?」


ルキは真緒の手を力強い力で握る。



あれ?さっき迄の甘い雰囲気はどこに行ったのかな?

殺気を感じる?




「飽きていないです。ルキが作る料理は大変美味しいです。

だから、今日もステーキが楽しみです。」


感情が無い声で言う。

まるでロボットだ。



「そう。

真緒が楽しみにしてくれているなら、俺も嬉しい。」


「とても楽しみです。

なので、お仕事行ってきます。」



カクカクした動きで真緒は歩き出す。




玄関に行き、今日も真緒は出勤していった。

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