第42話

男の風貌は40代半ばだろうか…

彫りの深い顔に、髪はツーブロックでビシッときめ、高級スーツに身を包んでいた。

男は真緒とルキを見ると、立ち上がった。

そして、貼り付けた笑顔で2人を歓迎する。


「ようこそ。

さあ、ソファにお座って。」


「ありがとうございます。」


真緒とルキはソファに腰掛ける。

フカフカの感触だ。

二人が腰を掛けるのを見届けると、男もソファに座る。



「初めまして。

亀田透と申します。

まず…お二人はどんな関係ですか?」


面接が始まった。

亀田は真緒とルキを頭から爪先まで探るように観察する。

値踏みするような視線を向けていた…



「俺の恋人です。」


ルキは大丈夫だと真緒の手を握る。

真緒はそれを感じ取った。



「…そう…付き合ってどのくらい?」


「半年くらいだね。」


「ふーん…で、君のなまえは?」


「ルキ。こっちは真緒。」


「随分、若いようだが、ルキくんは何をしているのかな?

その美しい容姿だと、モデルかな?」



「不動産を幾つか持っているから、それでビジネスをしているかな。」


「ほーう。

というと、資産家というわけか…」


「代々続くね。」


「なら、美しい彼女は…?」


「社長令嬢。」


「へー…で、資産家の君と社長令嬢が、巫女の亜衣様に何を占ってもらいたいんだい?」


亀田の鋭い視線が2人を射抜く。

ルキはなんともない顔をしていたが…

それに真緒は圧倒される…

が!!意を決し、発言する。



「ルキとは結婚を前提に付き合っているのに、親が認めてくれなくて!

私、それが許せなくて家を飛び出してきたの。」


「そりゃ、大変だね。」


「私には昔から結婚を約束された許婚者が居るんですが、その人は傲慢で女を見下していて、私を出世の道具としか見ていないの!

私の後ろにある金と権力にしか興味がないのよ。」


真緒は感情の高ぶりを見せ、泣く真似をして、ルキの胸に縋る。


「あるあるだねー。

そんな話、よく巷に転がってるよね。」


亀田は同情の眼差しで真緒を見る。


「ルキのことを愛しているのに、親からは許しをもらえないし、もう、私、どうして良いか分からないんです!」


「なるほど~…切羽詰まっているわけね。」


「はい…俺にはお金!!!はあるのに、真緒のご両親に会うことを拒否されているし…

俺もどうしたら良いかわからないんです。」


お金を強調して言った。

ルキの発言に、亀田の顔色が変わった。


場が取引の瞬間に変わる。



「で…巫女の亜衣様に俺達の未来を占ってもらいたいんだ。」


「ほう…未来ね。

なるほど。」


「ついでに、私達の恋愛の相性も見てもらいたいんです!」


「君たちの望みは理解した。

で…ここからが本題だ。」


亀田は身を乗り出す。

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