第40話

「…大丈夫かな。」


少し不安だけど、やるしかない。

自分に演技力があるのか疑問だが…。



真緒はお金持ちの恋人に見えるように清楚なお嬢様を装うことにした。



外に出ると、ルキは空を眺めていた。

柔らかな風がルキの髪と戯れているようだった。


絵画から飛び出してきたような光景だ。




考え事でもしているのかな?


真緒はそっと、ルキに近寄る。


「ルキ、考え事?」


「うーん…まあ、色々と。」


「もうすぐこの世界に来て、一週間だもんね。

早く、手がかりを探さないとね。」


「ありがとう。

亀田出版社まではタクシーで行くのか?」


「それが一番目立たなくて良いかも。

それに、迷うことがないしね。」


「じゃあ、行くか。」


「うん。」


真緒はタクシーを呼ぶ。


そして、10分くらいでタクシーが来た。

タクシーに乗った2人は、行き先を亀田出版社まで頼む。



タクシーで走り続ける事、1時間。

ビルが立ち並ぶ場所に来た。



「ここかな?」


窓から覗くと、【亀田出版社】と書かれた看板を発見する。

看板は高級感溢れるビルの上に立っていた。



「結構、稼いでるみたいだね。」


その高級感に真緒は圧倒される。


「この世界ではこういうのが高級なんだな。」


「そうだね。

あ、ここでおります!」


真緒はタクシーを停める。

そして、代金を払い、ルキと一緒にタクシーを降りた。


「緊張するね!うまくやって、巫女一族と繋がらないと。」


「ああ。

行こう。」


2人はビルの入口に入った。

ビルに入ると、警備員を通り過ぎ、美しい内装が2人を迎えた。

まるで、高級ホテル並の受付だ。


「出版社って、こんなに儲かるんだ…。」


真緒の頭に転職という文字が浮かぶ。


「真緒、顔が間抜け面だよ。」


ルキが愉快げに笑う。


「こんな会社、見たことなくて、圧倒されてた。

受付に行こう。」


2人は受付に向かう。


受付には受付嬢の美女2人が座っていた。

この会社にこのハイレベルな美女。

間違いなくこの会社は上位クラス。

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