第39話

朝食を食べ終わる頃、真緒は今日の予定について切り出した。



「ルキ、今日は亀田って人に会う予定だけど、亜衣って巫女の人はどうやって紹介してもらうつもり?」


「そうだね…その巫女って人はお金持ちを相手に商売をしているみたいだからな…

真緒は女社長で俺が秘書ってのはどう?」


「えー!私が社長?

社長って面じゃないよー。」


「じゃあ、俺が資産家で、真緒はその恋人で、俺達の恋愛運を占ってもらうとか?」


「うーん…それが自然かな?」


「なら、恋人らしく振る舞わないとね。」


「そうだね~…はっ!!!」


真緒の表情が固まる。

とんでもない発言に同意してしまった。

恋人のフリってナニソレ…????



「なに?俺と恋人のフリをするのが嫌なの?」


ルキは少しムッとした表情をする。


「嫌じゃない!ただ、緊張するね…。」


慌てて否定する。




緊張するどころじゃない。

こんなことになるなら、女社長のほうが良かったかも。

血の気が引いていく。




「楽しみだね。

恋人同士に見えるように振る舞わないとね。」


「ー…そうだね。」



悪魔の微笑みで吸血鬼が笑った。













朝食の後ー



「お金も持ったし、完璧だね。」


真緒はお金をバックに入れ、めいいっぱいのお洒落をしていた。



「…うん。

かわいい。」


「え?」


今、ルキがかわいいって言ったような…?


「デートに行くみたいだね。」


「違うでしょ、亀田出版社に行くんだから…。」


ジリジリとルキが近づいてくる。


「え?ルキ?」


「黙って…。」


ルキに見つめられて、真緒の体が硬直する。



「ルキ???」




ガブッ!!


「あッ!!!」


首筋にルキの鋭い歯が刺さる。


そして、ルキは真緒の血を無言で飲む。


「ーーーーッツ!!!」


痛みで悲鳴を上げそうになるが、ジッと耐える。



しばらくして、血を飲み終わったルキは首筋から離れる。


が…名残惜しそうに首筋を手で撫でる。


ビクッと真緒の体が反応する。



「ちょっと、ルキ?からかってる?」



いつもと違う様子に戸惑う。



「………やりすぎた。」


「あー…いいの!

今のうちに恋人同士に見えるように練習しないとね。」


真緒は乾いた笑いで笑う。

もはや、真緒には余裕がなかった。



「先に外に出てる。」



そう言って、ルキは家から出ていった。

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