第38話

冷水で顔を洗い、昂ぶる気持ちを抑える。






気分を変えないと。


今日は約束していた日曜日。


そう、亀田出版社に行き、13:00に亀田透と会う約束をしているからだ。


ルキのために奇跡の血の手がかりを探すのよ!



「うんっ!今日は気合を入れないと!」


こんなことでうつつを抜かしているべきではない。


ルキの気持ちも気になるが、優先すべきことは手がかりを見つけること。





洗面所から出ると、コーヒーとトーストと目玉焼きが用意してあった。


相変わらず、料理がうまい。

そして、真緒の心を捉える朝食のチョイスだ。


「ルキさー、思うんだけど、なんで食べたいものが分かるの?」


「ん?真緒のことなら、なんでも分かるから。」


笑顔であっさりと返答された。


「うっ…そうなんだ…。」


余計にドキドキしてしまう。


「俺は今日はいらないから。

真緒の血が飲めればいいや。」


「分かった。」


キスをされた日から、血をあげる事が当たり前になっていた。

前より血を飲む頻度が上がっていた。




真緒は椅子に座り、コーヒーを飲む。


その動作をルキは赤い瞳で静かに見ていた。


だいぶ、赤い瞳にもなれた。




しかし、前よりルキに見られる頻度が上がっているような…。


真緒は歯がゆい気持ちになりながらも、トーストを頬張る。


「バターも染み込んで美味しー!」


「本当?

良かった!」


ルキは嬉しそうに笑った。



笑顔がめちゃくちゃ可愛い。

普段のルキは結構あどけなく笑う。


もしかしたら、素のルキはやんちゃなのかもしれないと思った。

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