第33話

「タクシーで一緒に帰ったらどうだ?」


黒羽根が提案する。


「黒羽根さん、私達もタクシーで移動しましょう♪」


「そうだね、飯田さん。」


「とりあえず、佐藤さんを支えていかないとな。

佐藤さん、お店出るよ?」


柊木は優しい口調で真緒に問うが…。


「うー…。」


返事が帰ってこなかった。


真緒の手を取り、柊木は自分の肩に真緒の手を回す。

そして、ぐっと自分の方に体を引き寄せる。


「佐藤さん、歩ける?」


「はー…ぃ。」


柊木が歩くと、真緒はノロノロ動きで歩く。


「柊木さん、これ、真緒のバック。」


「カレンちゃん、ありがとう。」


「柊木、紳士だな。

狼になるなよ。」


「誰がだよ!」


「ははっ!」


「黒羽根、明日覚えてろよ。

仕事、手伝わせてやるから。」


「怖いなー。」


「柊木さんも怖い一面があるんですねぇ。」


そんな調子で4人は居酒屋を出る。


そのまま4人は大通りに出てタクシーを探す。


ネオンが光り輝く大通りは、人混みが多い。

行き交う人がザワザワ騒いでいる。



「あ、タクシー居た!すいませ~ん!!」


カレンが手を大きく手を振り、タクシーを引き止める。


カレンに気付いたタクシーは、4人の目の前にスムーズに止まった。


「柊木さん、お先にどうぞ♪」


カレンは先にタクシーに乗るように柊木を施した。


「じゃあ、お先に。

カレンちゃんまたね。

黒羽根も、今日はありがとうな。

佐藤さん、乗るよ。」


柊木は真緒に声をかけるが、微かな声しか聞こえない。


「ぅーっ…。」


「真緒、駄目だね。」


「完全に逝ってるな。」


カレンと黒羽根が声を揃えて言う。


「仕方がない…。」




柊木が真緒をタクシーに乗せようとしたときー






「すみません!!!」


突然、男が柊木達に声をかけてきた。

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