第29話

松田芳子から離れたルキは、一安心する。


「この世界の住人に見えているのか…?」


少し疑問は残るが、ルキは真緒を探しに街に出てみることにした。









その頃ーーー



「黒羽根さんって、彼女いるんですか?」


「特定の女性はいないかな。

でも、美女なら大歓迎だよ。」


黒羽根とカレンが楽しげな様子で会話をして盛り上がっている。


カレンは黒羽根を気に入っているらしい。


「グビッ!」


真緒はビールをひたすら飲み続けている。


「佐藤さん、結構飲むんだね。

大丈夫?」


「なんか、色々あって…飲みたいなー…と思いまして…。」


「佐藤さん、そういえば、最近悩みでもあるの?」


柊木は心配したような表情を向ける。


「なんか…柊木さんに言うのは気がひけるというか…

先輩ですし…。」


「そんなの気にしないで!

後輩の悩みを聞くのも仕事だからね。

でも、個人的に佐藤さんの助けになりたいと思っているよ。」


「え?ありがとうございます。

柊木さんにそう言ってもらえるなんて、嬉しいです。」


「遠慮しないでいいからね。」


「柊木さんって、やっぱり優しいですよね。」


「そう?

今日は佐藤さんに付き合って俺も飲むよ!」


励ますように柊木がいう。


柊木に言われる言葉に、少し心が温かくなる。




柊木さんになら、少しオブラートに包んで言ってみようかな?

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