第20話

急に問いかけられ、混乱する頭で考える。


「大家さんとはそこで会って話したけどー。」


ルキは鋭い瞳で真緒の目を見る。


「違う。男と会った?」


「え?男?」


なんでそんな事を聞くのだろうか?

真緒はドキドキしながら考える。


「あー…男の人にハンカチを拾ってもらったかな…。

それくらいしか思い出せない…。」


「…ふーん。

……………ーーーーそうなんだ。」


それ以上は何も言ってこなかった。

しかしルキは何かを考えている様子だった。


なにか問題でもあるのかな…

でも、ハンカチを拾ってもらっただけだし。

少し怪しい感じだったけど。


「なんか不味い?」


「いや…気にしないで。」


ルキの真意は分からないが、追求もできないので、話題を変えることにした。


「あっ!頼まれていた本を買ってきたよ!」


「ありがとう、助かるよ。

夜ご飯できてるから、食べようか。」


ルキは真緒から本を受け取る。


「本当に!?」


真緒は玄関で靴を脱ぎ、ダイニングテーブルに向かう。

すると、ステーキとスープなどのフルコースが用意されていた。


「すごい…こんなにすごい料理ができているなんて。」



並べられた料理に感動する。



「あと、部屋も少し片付けてみた。」


「え…本当だ。

部屋も片づいてる。

ルキは何でもできるのね!」


「まあ、吸血鬼だからね。

魔法でサクッと終わらせた。」


「魔法が使えるようになったの?」


「少しだけなら。

真緒の血をもっと貰ったら、もっと使えるよ。」


「あー……死にそうなくらい吸われそう。」


「そうだね。さっ、早く食べよう。」


「うん!」


二人でテーブルに座る。


温かいご飯を食べて、楽しい時間を過ごす。


誰かが家にいて、一緒に食べる夜ご飯も悪くない。


この時間が続くといいなんて淡い期待を寄せてしまう。

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