第19話

水色のアパートが見えてきた。


そして、自宅の二階の階段を上がろうとした時、


松田芳子が声をかけてきた。


「真緒ちゃんお帰り!」


「松田さん!昨日はお米、ありがとうございました!」


「いいのよー。そういえば、ルキくんはもう居ないの?」


「あー…彼、しばらく私の家に泊まることになったんです。」


「まー!!!!そうなのね!

ルキくんに、いつでもおばちゃんの家に遊びに来てって、言っておいてよ♪」


「わかりました。」


「真緒ちゃん、あんなイケメンと一緒にいれるなんて羨ましいわー。

そこらの芸能人よりイケメンよね!」


「はあー…確かに思いますけど…。」

吸血鬼ですよって言いたい。

人間じゃないから容姿も常識を超越している。


「まあ、ルキくんが待ってると思うから、早く帰ってあげないとね。」


「そうですね…。」

呼び止めたのは松田さんなんだけどな…。


真緒は、ハハっと乾いた笑いをする。


「でわ、失礼します。」


真緒は二階の階段を上がり、玄関まで来ると。鍵を取り出す。


そして、鍵穴に鍵を挿し、ガチャッと開ける。



「ん?真緒!?」


中から、ルキの声がする。


「ルキ、ただいまー!」


ルキに声をかける。

家の中でただいまというのは初めてかもしれない。


その声に反応して、ルキが玄関まで顔を出す。


そして、ルキは荷物を持っている真緒に近づく。


「おかえりーー……………?」


真緒に近づくと、ルキは一瞬静止する。


そして、訝しげな顔をすると、真緒にグイッと近づく。


「えっ!!??

ルキ!!??」


近い!!近すぎる!!

ルキの顔が真緒の首元あたりにまで近づく。



突然のことに真緒は混乱する。



「……………少し前に誰かと会った?」


ルキの低い声が問いかけてくる。

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