第17話

課長に呼ばれているなんて嘘だ。


これ以上バレては面倒なことになる。


どうして、私はこんなにも気を使っているのだろうか…。


ルキの為…


協力すると決めた限り、ルキの目的達成のために私も頑張る。


「さあ、早く仕事を終わらそう…。」




鬼の速さで仕事を終わらせる。


周りはその速さに圧倒されていた。



定時になり、慌てて会社を出る。



「カラコンを買うなら…。」


そう思い、ドラックストアに立ち寄る。


店内に入ると、色々な種類のカラコンが置かれている場所に来た。


「うわー…。

たくさん種類があるなー。

あ、ルキには茶色がいいかな?

それとも黒かな?」


まるで、彼氏が彼女の似合う洋服を選んでいるような感覚になる。


「茶色に決めた。」


茶色のカラコンを手に取り、レジで支払いを済ませる。


「次は書店か…。」


真緒はドラックストアを出て、書店に向かう。


外は少し薄暗くなっている。


歩道を歩く。


外の風が少し肌寒い気がする。



「あの!すみません!」


「え?」


突然男の呼ぶ声にあたりを見渡す。


「あの、これ、落としましたよ。」


スラッとした長身の紳士的な男がハンカチを手に持っていた。


「あ…私のハンカチ。

ありがとうございます。」


何時の間に、ハンカチを落としたのだろうか?


「いえ…たまたま見えたもので…。

それより、この前お会いしましたよね?」


「は?」


「来栖慶ですよ。お忘れですか?」


「ちょっと存じないですね…。」


「私はハッキリ覚えているんですがね…。」


来栖という男は不敵に笑う。


「あ…ハンカチ、ありがとうございました!

急いでいるので、これで…。」


真緒は来栖という男からハンカチを受け取り、急ぎ足でその場を去る


その時…「また、会いましょう、佐藤真緒さん…。」


教えてもいないのに、自分の名前をハッキリ言われてゾッとする。


なぜ、私の名前を知っているのか…?

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