第16話

「ごめん真緒、買ってきてほしいものがあるんだ。」


「何?」


「雑誌や本を何冊か買ってきてほしいんだ。」


「良いけど…なぜ?」


「この世界のトレンドや常識の情報を収集したいからさ。」


「分かった!何冊か買ってくるよ。」


「ありがとう!じゃあ、まってるね。」


電話が終わり、ルキが勉強熱心なことに感心する。

色々な本を買って帰らないと!

自然と顔が綻ぶ。


家に帰ると誰か居る安心感っていうのかな?

ただし、彼氏じゃなく、吸血鬼だけど。


「真緒、今の誰なのー?

薄っすらと声が聞こえたけど、男?」


「え?あー、そんなんじゃー…。」


まずい、音漏れしていたなんて!


「ふーん…。

あやしー。」


「真緒ちゃん彼氏が居るの?」


柊木さんまで追撃してくる。


「いないです。

そんな人はいません。」


「そっか、良かった。」


え?柊木さん、何が良いんだろう?

さっぱり分からない。



気まずくなり、思い出したかのようにわざとらしく声を上げ…


「あー!課長に呼ばれてたんだった!

失礼します!」


ダッシュでその場から逃走する。


「真緒ー!!!???

怪しい…ねえ、柊木さん!

どう思います?」


「うーん…恥ずかしいのかな?」


「あんな真緒、初めて見た!

顔がほころんでたよ。」


「………………。」


柊木は真緒が逃走した先を見つめていた。

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