76話目


(なんで、そんな事聞くの?

ムカついたからじゃダメなの?

でも、そもそも、ケイさんが誰とキスしようが関係ない

別に私の恋人でもないからムカつくのは違うの?)



「そんな事、私に聞かれても、私も分かりません。

だって、あの時は無性に腹が立ったんです!」



整理できない感情に振り回され、自分の思いをそのまま言った。



「そう…なのね」


なぜか、ケイは少し嬉しそうに笑った。



「なんで…少し嬉しそうなんですか?」


訝しげにケイを見ると、


「だって、莉蘭がアタシのことを考えてくれたから」


ミシッ


静かに動く音がした。


「…………」


そして、ケイは移動していく


私はその行動を無言で眺めた。


隣に静かに座られた。


「あ…」


戸惑いの声を出すと同時に、ケイが抱き締めてくる。


ケイのつけてる香水のサボンの香りが優しく香ってきて、

心拍数が上がる。


「なんで…ケイさんは女性に興味が無いはずなのに、

私を抱きしめているんですか…?」


気になっていたことを


言ってしまった。





ー 


ーー 



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