75話目

「ソファに座ってください。

今、お茶を入れます…」


ケイはソファに座る。


ケーキの箱を受け取ったからには、お茶と一緒にケーキをだす。

よりにもよって、莉蘭の好きなティラミスだった。



「どうぞ…」


莉蘭も向かい合わせにソファに座る。



「ありがとう…

莉蘭、これ、返しておくわね」


スッと封筒がテーブルの上に置かれた。


無言で受け取り、封筒の中身を見る。


「どういうことですか?」


「この前の1000円、受け取れないから返すわね」


「これだけのために来たんですか?」


「まさか。

ちゃんと、莉蘭と話がしたくてきたのよ」


「私と話ですか?」


「そうよ。

待っててねって言ったのに、帰ったじゃない。

まだ、莉蘭と話をしたかったのよ?」


「あれは、ケイさんが私の言ったことを無視したからですよ。

だから、ムカついて…帰ったんです」


「そう、立花オーナーじゃなくて、アタシに怒ったのね?」


「ケイさんにもムカつきました。

けど、立花珠里って人にはもっと、ムカつきました」


「なぜかしら?」


「なぜって…

初対面でプライベートを詮索するし、嫌な感じがしたんです。

それに、ケイさんにキスしたから、凄くムカつきました!」


「初対面の人にプライベートを聞くのは失礼だったわよね…

でも、立花オーナーがアタシにキスしたからってなぜ、莉蘭がイラつくの?」


問いかけるその瞳はどんな答えを期待しているのか…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る