73話目

「立花さん、助けていただいてありがとうございます。

今日はもう、遅いですから近くまでお送りします」


ケイは立花珠里の背中に手を添えた。


「え、ケイさん!?

そんな女の言うことを信じるんですか!?」


莉蘭は真っ直ぐにケイを見つめる。


「ー…行きましょう」


「はい、ケイオーナー」


立花珠里は莉蘭をちらっと意味ありげに見ると、

笑った。


「ー!!!」


莉蘭は苦渋に満ちた表情でケイと立花珠里を見送るしかなかった。


「莉蘭ちゃん、だいじょうぶにゃも?」


「あいにゃも☆さん、お代、此処に置いときますね!!!」


ダンっと1000札を叩きつけるように置くと、バックを持つ。


「か、帰るにゃも?」


「はい!!」


「そうにゃも…

ケッ、ケイさんには言っとくにゃも!

また、次も来るよね?」


「はい、ケイさんにもそう言っておいて下さい」


「はいにゃも☆」


あいにゃも☆は安心したように笑った。



店を出ると、夕方だった。


走る。




家に帰りたかった。


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