68話目

「あ、交渉する気満々ねー…」


スーツを着た女はケイの視線に気付くと、手を振ってくる。


「莉蘭、ちょっと、行ってくるから、待っててね」


「え…

はい、分かりました」


ケイはスーツ姿の女のもとに行った。


「ちよりさん、あの女性は何者なんですか?」


「ケイと一緒の同業者よ。

ケイと一緒に商品開発したいらしくて、しつこく会いに来てるのよ!」


「へー…そうなんですか」


「ケイは乗り気じゃないみたいだけど、立花オーナーが積極的でねー…

ありとあらゆるプランを持って来てプレゼンするの。」


「一緒にしてみたらいいんじゃないんですか?」


「積極的過ぎて怖いの。

ケイに近付きたいから必死っていうのかしら?

個人的な感情がありそうなの」


「そうなんですか…

ケイさんも大変ですね」


この前、ケイをストーカーした女を思い出した。

本当に色々な女性から狙われやすいらしい。



「でも、お仕事だから、避けることはできないしねー…

ケイがどうするか見守るしかないよね!」


「ケイさん、どうするのかな?」


ちよりとの会話が終わり、1人でスマホをいじりながらケーキを食べる。

暫く経って、あいにゃも☆が水を注ぎに来てくれた。


「ケイさんとうまくいったにゃも?」


「あ、うん、あいにゃも☆さん、ありがとう!

仕事前に引き止めてごめんなさい」


「ほんとうにゃも!」


「あとさ、あの時の悩みも解決しました!」


「へー、そうにゃも!

経験がない男と無事にヤレて良かったにゃもね!」


「っと!!

あいにゃも☆さん、声が大きいです!」


「…?」


あいにゃも☆は首を傾げた。


「あいにゃも☆となんの話ぃ?」


「あ、ケイさん、お帰りなさい」


ケイが戻ってきた。


「ケイさん、莉蘭ちゃんの恋愛の話をしているにゃもです!」


「ー…へー…」


一瞬、ケイの目が細くなる。


「ま、まあ、なんてことない話ですよー」


莉蘭は話を強制的に終わらそうとする。

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